勝間和代さん『人生を10倍自由にするインターディペンデントな生き方実践ガイドー「自立」から「相互依存」へ』とお誕生日

 勝間和代さん、お誕生日おめでとうございます。勝間さんと面識を得たのはまだ1年ほどですがすごく長く感じますw デフレ脱却問題、まだまだ大変ですが、頑張っていきましょう。

 お誕生日が14日と知って、近所の本屋にいって購入してきました。ハイチで撮ったというメガネっ子ヴァージョンの勝間さん(本人いわくすっぴん)が気楽そうな雰囲気でいいですね。

 本書はある意味で勝間さん流の『国富論』と『道徳感情論』のドッキングです。依存から自立へ、そして自立から相互依存へ。いままで勝間さんの本をさっと読んでしまうと「自立する人」そのためのマニュアル、みたいな読まれ方をされてしまったでしょう。しかし勝間さんの特にデフレ脱却などを通じた社会問題への取り組みは、自立しやすい環境を実現し、そして自立した個人が相互依存できる社会をつくるという構想の一環としていままでも理解してきました。本書はそのことをはっきりとした概念として提起したことですぐれた本です。

 『国富論』というのは、自立した人たちが、相互依存=社会をスムーズに動かすに至る話としても読むことができるでしょう。もちろん勝間さんのいう相互依存は社会よりも小規模な部分的な社会、組織、グループに適用したほうがよりわかりやすい概念かもしれません。その要件は三つです。

1 共通の価値観を有していること
2 同一の目標の実現を目指していること
3 複数の自立人が集まっていること

 本書を読んだかぎりでは、1と2はあまり強い制約ではないでしょう。むしろ多様な価値観、多様な目標の実現を追求している人たちでも、たまさか知り合いになったときに、お互いの立場を認めながら、情報交換をしたり刺激を与えることができる、そういう社交のための勝間流ススメと読むことができるでしょう。

 多様な人たちとの社交術には、もちろん社交する相手が自立していることが必要です。そして相手の感情や立場や考えをフォローできる「想像力」の重要性を本書は伝えています。これはあたかもアダム・スミスが「道徳感情論」で描いた同感の原理に似ています。想像力こそ社会や対人関係、社交術の基礎にあるのです。

 勝間さんはこの想像力に最重要な価値をおいているようです。そしてその想像力を鍛えるスキルを本書ではさまざまな角度から提供しています。勝間さんによる想像力の定義は以下です。

 豊かな想像力(見えないものを見る力)=知識を集める努力(Input)×試行錯誤を重ねる力(Output)

 この知識を集める方法では本書の後半でネットの利用の仕方、読書の仕方、人から情報を得る仕方などが豊富な実例とともに紹介されています。また試行錯誤の重要性、失敗をおそれない重要性が強調されています。

 そして勝間的社交術=相互依存インターディペンデントとは、本当に豊かな社交の秘密を、こころのバランスシートという考えから解き明かしていることに尽きます。僕も長く付き合う人からは、結局は意識的か無意識か(僕は後者が多いのですがw)しりませんが、得るものが多くなればなるほど、なんとかそれを返済しようとこれまた(ストレスの感じない範囲で、というかストレス感じる貸し借りは駄目であると本書は示唆しています)努力しているようです。それがお互いの勘定を豊かにする。まったり付き合うとか、気安く付き合うというのだって十分たがいの心のバランスシートを膨張させているのです。

 おそらく意識しないでそのようなことを日常的に多くの人はやっているかもしれません。だからこの本をそのまま実践するというのではなく、この本を読んで自分の社交の在り方を見直すきっかけにするのがいいのではないでしょうか? 

 ともあれ勝間さんの新たな一年に祝福を!

(参考)勝間和代さん関連のエントリー(主要なものだけ)
堀江貴文勝間和代『嫌われることを恐れない突破力!』堀江貴文勝間和代『嫌われることを恐れない突破力!』http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20101115#p2
勝間和代、緊急警告 大恐慌来襲『夕刊フジhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20100525#p1
勝間和代宮崎哲弥飯田泰之『日本経済復活一番かんたんな方法』 http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20100219#p2
勝間和代『やればできる まわりの人と夢をかなえあう4つの力』 http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20091204#p1
勝間和代さんに会いに行く http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20091121#p1
勝間和代さんのデフレとの闘い http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20091106#p4