新カテゴリーで就職というのを作ってみました。この田口氏の本はとても使いやすい。まず従来の面接本は、1)著者の経験談に比重を置くものが多く、それはそれで面白いものがあるが、やはり読者側からするとその体験を自分のものとして活かせるかどうかはは別になってしまう、2)さまざまな面接のケースを網羅的に書くものが多く、読んでいくうちに疲れてしまう、という二つの特徴というか「弱点」があった。
しかしこの田口氏の本は、まずA)著者の体験談はほとんどない。むしろあくまでも読者の経験(自己分析ともいうが)をあぶりだして面接に直結するという戦略を採用していて、あくまでも読者本位に書かれている、B)薄い内容で、イラストも多用しているので記憶に定着しやすい、という特徴を持っている。
それでもケーススタディにあげられているものは、僕の読んだかぎりでは必要最低限のものであり、例えば講義で使用するのであればだいたい3、4回は丁寧にやればかかる内容のものだと思う。それだけ少ない事例で充実したものになっている。この「面接シミュレーション編」は、書きこみ式のシート方式であり、これをやれば自己分析やエントリーシート対策も十分に兼ねることができるだろう。僕のような自己分析のやりすぎを嫌い派には適切な内容だと思う。
最後には面接の反省編が収録されている。面接を受けた後にどこに改善の余地があるか、それを次回にフィードバックしていく「反省シート」方式は、就職に悩む学生の多くが、落とされたことにこだわるあまり、過去の失敗を十分に客観的に分析できていない現状をみるに、非常に効果的である。
- 作者: 田口久人
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2010/02/11
- メディア: 単行本
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