献本いただきました。ありがとうございます。
簡単な企業側へのアンケート調査をとれば、おそらくどの大学の就職担当者も知っているように、採用側が学生のアルバイトやサークル活動に対して与える評価は想像以上に低い。例えば10項目、企業側に採用で考慮する点をあげさせたら、アルバイト経験やサークル活動の評価はおそらく最下位を競う水準だろう。ボランティア活動もしかり。対して、学生側が就職活動において自分のアピールポイントとしてあげているのが、アルバイト経験、サークル、クラブなどの活動と成果などだ。実際に学生たちに自己分析やエントリーシートなどを書かせると、バイトとサークルは普遍の首位打者的話題であろう。
僕は自分の本『偏差値40から良い会社に入る方法』では、この学生と採用側のミスマッチは、おもに学生側の修正すべき点であると考えた。なぜなら企業側にはそういう採用基準を変更する有効なインセンティブの設計が難しいからだ。企業の立場に立てば、サークルやバイト活動に熱心で、学生の本業である専門的な勉強やまたゼミで取り組んでいるものが、学生の側から話題にでないということは、単純に、その学生が本業を軽視して、余技にふけっている人物と判定して差支えない。例えば、拙著でも書いたが、専門ゼミの指導教官の研究テーマや業績を知らない学生などいたるところで見聞するが、そういう人材を本気で企業が採用するだろうか?
ところで本書は、拙著とは問題の前提(採用側と学生とのミスマッチ)は同じだが、本書全体では、学生に異なるタイプの人間との協働を行う場としてバイトを有意義に活用し、さらに勉学を含めてバランスのとれた生活設計、そこからの就職活動戦略の構築を説いている。そして有意義なアルバイト経験都は何かを、いくつかの企業の実際から紹介している。
僕個人は、そのような理想的なバイト経験を否定するつもりはないが、残念ながらそのような理想的なバイト場所を探すコストは学生側には高すぎると思う。むしろ学生の本業である専門勉強やゼミでの活動を丁寧に考えた方が、学生も大学(教師)もそして採用側もよほど安上がりである。
残念ながら本書の基本的姿勢には、根本的な疑問を抱かざるをえない。
「いっしょに働きたくなる人」の育て方―マクドナルド、スターバックス、コールドストーンの人材研究 (ワークス人と組織選書)
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