今日の朝刊、オピニオン欄に岩田先生が登場です。
1 デフレが経済停滞をもたらすという理解がみられない
2 日本銀行はデフレ脱却が定着する前の06年3月に量的緩和を止めた
3 日本経済は事実上、98年半ばから11年間もデフレが継続している。デフレの下では賃金が伸びない。資産価格も低迷する。民間の内需も低迷する。政府支出と輸出のどちからが大幅に増えないと成長は期待できない。
4 民間需要を喚起し、デフレを克服する主役は金融政策である。日本銀行がこの点で間違っている認識が不足している。
5 白川方明日本銀行総裁は、「需要自体が不足しているときには、流動性を供給するだけでは物価は上昇しない」と発言し、デフレ対策としての金融政策の役割を否定している。
6 しかし世界の中央銀行では2〜3%のインフレ目標が標準。今後三年もデフレが継続するという日本銀行とは大違いである。
7 すでに日銀は06年3月の自身が定めた「物価安定」(審議委員の理解が前年比0〜2%)というものすらも放棄している。「デフレでも成長する」「物価下落は金融政策ではとめられない」という中央銀行の役割を放棄している。
8 この世界的にも特殊な考えを「日銀流理論」という。これは「日銀は何もできない理論」というに等しい。
9 ゼロ金利でも日本銀行は満期が長めのCPや1年超の国債や社債を買いオペの対象にすることで、日銀当座預金を銀行に供給できる。
10 さらに日銀がデフレ誘導政策を放棄し、2^3%のインフレ目標を設定し義務付ける改革が必要。日本銀行法の改正
11 しかし法改正には時間がかかるので、昭和恐慌期の高橋是清をならい、日銀による国債の直接引き受けを実施すべき
12 財政法第5条では特別の自由あれば国会の議決で11を行える。政府はこの非常事態にまさに国会で議決して国債の日銀引き受けをすべき。そのときに無制限の引き受けを防ぐために、インフレ率の2〜3%の明確な上限を設定すべきである。
なお横では池尾和人氏が事実上の清算主義を織り交ぜた主張を展開している。池尾氏の成長戦略の基礎をなす彼の考えについては、シノドスのメールマガジン「ダメな経済学」の中でも触れた。基本的には『エコノミスト・ミシュラン」や『構造改革論の誤解』での批判もいまだにあてはまる。また池尾氏の論説よりも、日本銀行のホームページでの総裁の問答を読んだ方が便利だろう。