日本銀行の「追加緩和」に対する批判(上念司、片岡剛士、高橋洋一、田中秀臣、矢野浩一、安達誠司、村上尚己):日銀の金融政策に雇用創出・デフレ脱却効果はある。問題は「政策をやらない」ことだ

 日本銀行の7月29日の「追加緩和」についての評価は厳しいものが大勢を占めている。だが、同じ批判的評価でも誤解してはいけないのは、1)日本銀行の金融緩和政策にはまだ十分に雇用創出効果もデフレ脱却効果もある。問題なのはその金融緩和政策をうまく実行していない日本銀行の姿勢にある、というものと、2)日本銀行の金融緩和政策には効果がない、またはいままであったが(この評価は明らかにしない論者が多いが)これからはない、というものだ。

 1)は事実と単純な論理で支持できるが、2)は、ただの想念にしかすぎない。いわゆる「リフレ派」といわれる人達は前者の立場を採用している。以下では29日をうけてのネットで簡単に見たり読んだりすることのできるリフレ派の主要論客の発言をまとめて紹介する。動画や論説ベースなので、ブログやtwitterの断片的なつぶやきは省略する。
敬称略

上念司

【7月29日配信】上念司の経済ニュース最前線7月29日号「組長がお怒りです!? 日銀金融政策決定会合結果は!? 真水増額?財投債解説も!」桜林美佐【チャンネルくらら】
https://www.youtube.com/watch?v=SOKbqyuvc80

片岡剛士

日銀追加緩和、安倍政権の経済対策、米英の経済政策、G20財務相中央銀行総裁会議、下方修正が続く世界経済見通しなど、毎月注目の経済ニュースを分かりやすく解説。片岡剛士「経済ニュースの基礎知識TOP5
https://twitter.com/synodos/status/760029932944629761

高橋洋一

安倍首相の「絶好球」を打ち損じた黒田総裁 デフレに逆戻りする瀬戸際に
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160803/dms1608030830004-n1.htm

田中秀臣

論説「日本銀行の「追加緩和」は官僚的な対応のきわみだ」ニューズウィーク日本版
http://www.newsweekjapan.jp/tanaka/2016/07/post-4.php
コメント「日銀「クーデター」のシナリオとは… 追加緩和不発で黒田総裁“崖っぷち”」 - ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20160801/ecn1608011140002-n1.htm

矢野浩一
論説「日銀は国内景気の低迷を直視せよ!」ニューズウィーク日本版
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5582.php

共通項は、日銀の政策決定委員会のボードメンバー(当然リフレ派的委員も含む)の危機感の欠如と、また政府の問題意識の共有の「失敗」に焦点をあてています。

もう猶予はない。というか完全にアウトに近い。夏休み返上でやれ!

付記)
前記エントリーと前後してでた論説で、安達誠司さんの「日銀は本当に死んだのか? デフレ脱却に必要な緩和スキームは「量」の拡大だ」はきわめて重要で、マッカラムルールから、デフレ脱却に必要な日銀のマネタリーベースの前年比増加ペースを試算しています。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49360

付記2)

村上尚己さんの論説も出ました。
遠のく脱デフレ、疑似ヘリマネに躊躇無用
http://reut.rs/2ayTmjE

補遺)
それと紹介する機会を逃していた、浅田統一郎さんの産経新聞インタビューはこちら
http://www.sankei.com/politics/news/160714/plt1607140043-n1.html