日本銀行をめぐる特定の利害について

 この人のブログは普段は読んでいない。自分のはてブ関連エントリーにあった題名に釣られて読んでしまい愕然とした。少し前の話題である。

「(特定の)利害に配慮した金融政策運営は自殺行為だ」=白川総裁、良くぞ言った
http://hongokucho.exblog.jp/8630225/
より

本日の会見、一つだけ感想を。
 ネタなのか、本気なのか、それとも(日銀を貶めるための)罠なのか、良くは分からんのだが、「主婦の体感物価は非常に高い、それでいいのか!」、「年金生活者が低利息で厳しい、それでいいのか!」みたいな質問が突然飛び出て、おや、衆愚的金融政策論のお好きな民主党(与党にもいるね)の先生でもいらっしゃるのかと思ったのだが、白川総裁の答弁は良かったです。以下の感じでした。
・世の中の人々、苦しい人々の状況を理解するのは大事である
年金生活者の苦しみは分るが、一方で景気が悪くなれば職を失う人の苦しみもある
・世の中には(金利面では)利害関係でいろいろなグループがある
・しかし、金融政策を狭い意味での(特定の)利害に配慮して運営するのは自殺行為だ
・(それゆえに)金融政策は独立性を持って(物価安定下の)持続的な成長を目指すしかない
 パチパチ…。

 これだけ読むとまさに正論である。しかし僕は思いだすのだが、この正論をいった人物が、日銀理事の時代に国会の答弁(2006年2月23日、参議院財政金融委員会における日銀白川理事の答弁だったか?)において、低金利政策のデメリットとして金利収入の喪失が304兆円にもなったことを強調し、それが誰の目にもその後の日銀の利上げの政治的な地均しとして認識されたということを。

 確かに金融政策は特定の利害に配慮して行いものではない。しかし特定の利害を強調して、自らの組織(この場合は日銀)に有利な政治的手札を切ることは頻繁に観察されることである。まさかこういうことを前にして、とてもではないが、この白川総裁の発言に拍手を送ることはできない。これが要するに僕がこの人のブログを
読まない(読んでも用心する)理由である。

参考ブログ
http://facta.co.jp/blog/archives/20080201000613.html