浜田宏一「不安を克服すれば日本経済の日の出も遠くない」

 同じ『週刊エコノミスト』での浜田先生の論説です。

 1 いまの日本では資産価格に働きかける金融政策が重要である。特に中央銀行は(財務省と相談したり、非伝統的な政策の副作用を心配するのはもっともだが、それでも)、「日本の資産市場が本当の危機に陥るような最悪の事態に陥るような最悪の事態にはまった時、市中のマネーの量を減らさずに資産価格をサポートするために株式、社債や外貨を購入できるのは中央銀行なのである。略 非伝統的な政策に対して慎重さを通り越して臆病になってしまうと、母屋のアメリカの火が消えたのに、日本の金融市場はまだ燃えているという事態すら起こりかねない。金融体制が深刻な危機に陥っている時、民間資産を買い上げる可能性を示唆するだけでも市場の期待に大きな効果を与える」。

 浜田先生の懸念は十分に理解できます。そもそも日本がなぜ先進国の中で最もおちこんでいるかという理由を考えれば、まさに日本銀行が「慎重さを通り越して臆病」であったためでしょう。それを転換する必要がでてくるのですが、どうでしょうか?


2 さらに浜田先生の論説は、国際的な協調は、財政政策の協調であれば各国ともにその恩恵をうることができるが、金融政策については他国が金融緩和することは、その国の自国通貨安、他国通貨高に帰結することで、他国に不利に作用する、と指摘しています。これはこのブログでも何度もでてきている世界リフレ競争というものを別様に言い換えたものだと思います。他国の金融緩和がすすむ一方で、日本が金融緩和で劣るあるいは引き締めてしまうと他国には得ですが、日本には円高デフレ傾向に拍車がかかり不利です。

 もちろん各国の国際協調は財政政策を中心に行われているので、金融政策については国際協調という観点ではなく、もっぱら自国の経済の状態のみを念頭に、金融緩和を行うのがこの場合には望ましいことになるでしょう。

 浜田先生は政策当局が積極的に人々の不安を払しょくし、期待の転換を促すべきだ、と主張しています。まさに不況レジームからの転換が求められているというわけでしょう。