2週間前に一時間経済問題で喋ると…

だいたい以下のようなことを話したようです(『週刊朝日』の田中訂正版)

 このままだと、日本の失業率は史上最悪な水準になるおそれがあります。景気悪化はいまからが本番なのです。
 これを回避するただ一つの処方箋は、日銀が政府と手を組んで、政策金利を現行の0.3%からゼロに下げ、徹底的な量的緩和をすすめること。たとえば、金融機関などが保有している長期国債を日銀が買い入れて、潤沢に市場にマネーを供給すべきです。
 欧米や新興国が協調利下げに踏み切り、超金融緩和政策をとっています。これにひとり日本が乗り遅れているのは愚かとしかいいようがありません。ますます円高が進み、株価は下落を免れない。麻生内閣は一人1万2000円の定額給付金の給付を打ち出してますが、ただ国内で財政出動だけをしても、株価は上がらないことはわかりきっています。
 ゼロ金利量的緩和とセットでやれば、定額給付金もやったほうがいくらかマシなんですよ。その上でなら、総額2兆円ではなく、20兆円くらいドーンとせよともいいたい。20兆円というのは埋蔵金がそのくらいあるからです。埋蔵金というのは国民がいままで余計に政府に預けていたお金であるといえます。しかしこれをそのままにすると官僚たちがムダなことに使ってしまう。埋蔵金を国民に戻して自由に使い道を決めるほうが、官僚のムダをなくして、同時に景気対策にもなるのできわめて有効な政策です。ただ、この国では、不況のときこそ構造改革だとか、生産性の低い企業を淘汰せよとか、クレージーなことをいう政治家や論者がいるから困る。小泉改革のときだけでなく根強くいますよね。
 いま世界中が不況ですが、構造改革せよとはどの国の誰も言っていない。日本銀行がマネーを潤沢に供給し、政府が協調して財政支出の拡大を行えば、住宅ローンが下がり、企業の資金繰りが楽になり、雇用が改善されていく。物価がインフレに転ずるまで、めぐりめぐって国民のふところを暖かくするところまで、金融緩和をすすめていかなくてはなりません。消費税の引き上げなどどうしていま話題になるのか理解できません。世界的な大不況の可能性があるのに、増税議論をしている国など世界に皆無です。
 一方で、個人としては何ができるか。難しいですが、とりあえず総選挙では自民か民主かなんてどっちでもいい。両党の政策を見ても、金融政策についてきちんと触れていません。だから、候補者がどのような金融政策を支持しているのか、ホームページやブログで調べて、マシな候補者に投票するしかありません。どうせ、選挙後には政界再編があるでしょうから。
 国が巨額の財政赤字を抱え、年金もピンチ。将来が不安で消費が進まないから景気が回復しないなどとマスコミは報じています。不安は仕方ないと思いますが、いま世界の投資家はいちばんリスクの少ない商品として日本の国債を買っているのです。真に憂うべきは、財政赤字よりも、将来を支える「若い人たち」が貧しくなっていること。彼らを底上げするためにも、冒頭に言った金融政策は絶対に必要なのです。

(追記)ちょうど高橋さんのパーティーに出た直後なので、そのとき聞いた埋蔵金論に影響されてるのが微苦笑を誘いますが。