2008年下半期経済書ベスト4+1

 そろそろ年間ベスト選出とかの時期が近いのですよ。一年というのは本当に早いですねえ。まあ、まだ二ヶ月ほぼ丸々残って超気が早いですが 笑。

 上半期はこの本たちをおススメしましたとさ →これhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080625#p3

 下半期は個人的に何度も何度も読んだ本をあげることができ、その意味では当たり年でした。つまりネタ本ですね 笑。専門的なものは無視して一般的なものを五冊とりあえず選びました(順位には意味なしです)。これに出るぞ〜と噂されている知人たちの本がきっとにぎわせてくれるでしょう。

1 岩田規久男『景気ってなんだろう』

 これは書評を書きましたのでご参考ください。しかしためになりますよ。とりあえず景気問題についてはこれ一冊で十分でしょう。

景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)

景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)

2 大竹文雄『格差と希望』

 格差問題の日本でとりあげられているほぼ主要論点をカバーした便利さと分析の明るさで重宝しております。処方箋は違うのも多いのですが、どこが自分と違うのかはっきりわかる点でも個人的に便利なのです

格差と希望―誰が損をしているか?

格差と希望―誰が損をしているか?

3 竹森俊平『資本主義は嫌いですか?』

 いえ、大好きですw と応えてしまうオレがいますが。econ2009さんが継続して書評をかかれているのでおまかせしますが、前もちょこっといいましたがこれが今後の日本のバブル経済学の基本書でしょうか? 専門的内容をこれだけ噛み砕いて紹介できるのは竹森さんならではでしょうか。これも微妙に僕のような恐慌はこないでありきたりの不況がくる論からするとちょっと立ち位置が違うのですが、便利です。

資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす

資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす

4 アラン・クルーガー『テロの経済学』

 これも原書のときから含めて何度も読みました。いや上の三冊もそうですがいまも手元において参照しています。これだけの実証的に深い内容をわかりやすく説明していて、話題も真摯なものであるという、その水準の高さに敬服します。どうして世界でテロが絶えることがないのか? という疑問をもつすべての人に推薦します。これについても書評を書いてます

テロの経済学

テロの経済学

5 ラグラム・ラジャン&ルイジ・ジンガレス『セイヴィング・キャピタリズム

 実は今日届きました 笑。2008年に出たものではないんですが、5冊思いつかなかったので圏外からここにw しかし冒頭の「本書は、資本主義を「資本家」の暴虐から護れと主張することをめざしているが、その場合の「資本家」とは、既得権者(自由競争から利害を護られている人たち…田中注)としての資本家を指している。彼らと困窮した失業労働者の意外な同盟は、企業倒産を解雇という瓦礫の山のなかにおいてとりわけ強力となる。不況の時期には、資本家たちは自由市場が作り出す機会よりも、むしろ競争のコストに目を向けがちである。また失業労働者は、多くの他の者たちも同様の境遇にあって、同じような心配にさらされていることに気づくから、団結するのは容易である。そして資本家たちは、困窮者たちのためだという口実を政治組織を利用して、自分たちに都合のよい政治アジェンダを策定する」というのは日本の状況を考えると非常に興味深いですね。「資本家」を19世紀的イメージで考えるのではなく、いまや我々は多かれ少なかれ「資本家」だと解釈すれば、日本での「意外な同盟」もいろいろ指摘できますね。

 

セイヴィング キャピタリズム

セイヴィング キャピタリズム