うっかりチェックし忘れてたもの。昨日の上野論説、そしてその関連で紹介した拙著の引用とも関連するので紹介。
: ただ、インフレとは言え、その正体は相対価格の変化だから、国内生産物の価格上昇はエネルギー価格の上昇と比較すれば小さなものにとどまる。もし、同じだけ上昇したなら、所得流出は起こらないわけだ。つまり、表面的なインフレの高進の背後では、国内生産物の価格に関しては低インフレあるいはデフレが進行しているから、所得流出が起こることになるわけだ。事実、国内生産物だけの価格であるGDPデフレータを見れば、米国でも1%程度の上昇しか起こっていないし、日本ではマイナス1%超の低下が生じているのである。
スタグフレーションとは不況(スタグネーション)とインフレーションの合成語であるが、現在起こっているスタグフレーションの正体は、表面的なインフレーションと相対的な低インフレあるいは日本では国内生産物のデフレーションの組み合わせなのである。
これに対し、利上げで対処しようとしても、結果的には国内生産物価格の低下を招くだけで、なんら望ましい効果を期待することはできないだろう。:
これを読むと十数年継続しているデフレがいまだ解決されていないことが、大規模な所得流出という形で、日本経済「全体」を苦境に陥れよている真の犯人であるといえるだろう。