伊藤剛『マンガは変わる』


 竹内一郎氏の『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』を読んだときに、まだマンガ評論自体それほど読んでいなかったにもかかわらず、その程度でも先行研究への参照が無いことと、中身の凡庸さが気になり旧ブログに書いたことがありました。確かこの竹内氏の本がでてほとんどすぐかな。その後、伊藤氏の批判に接して「なるほど」と思い、漫画評論の専門研究としての未成熟を知りました。マンガと野球はよく似ているように思えて、国民的な人気をかって持っていたのに、若い世代からしだいに離れていって、それでもまだコアの人気が崩れるところまできていない感じ。大学などでも野球や駅伝に力をいれるのと同様にマンガやアニメそれにゲーム文化や携帯文化などを扱うコースワークがあってもいいですね。


おっと話がだいぶそれましたが、本書でも若い世代とのコミック体験のずれを伊藤氏も意識するからこその伊藤流コミック読解法が幅広いテーマで紹介されています。


僕が興味を持ったのは

1 ビンボーペンタッチの分析
2 黒田硫黄(読んでないので読みたくなった)
3 日本のキャラクター文化振興施策の提言(これは経済学的に関心あり)
4 これだけ広汎な話題にもかかわらずまんが研究者の中での経済学的視野をもった人材への言及がないので、やはりその種の人材はいないんだなあ、という確認。


以上でしょうか。非常に勉強になったということです。


マンガは変わる―“マンガ語り”から“マンガ論”へ

マンガは変わる―“マンガ語り”から“マンガ論”へ