契約の経済理論をめぐる研究会


 車の修理に時間がかかり遅刻して出席。ただし報告時間がかなり長かったので実質半分ぐらいは聞けました。伊藤秀史先生のご報告。早稲田大学にて(ふたつの経済学史関連の研究会の共同主催)。参考文献はこのエントリーで紹介したものhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070604#p1


 以下、僕の関心のみのメモ。契約理論とは「非対称情報下でのインセンティブ設計の経済理論」。


 非対称情報には、1 情報の源泉(隠れた行動、隠れた情報)、2 タイミング(事前・事後) 3誰についての非対称性か の三分類可能。これらの下でのインセンティブ問題(人を望ましくない行動に導くインセンティブを解明する、適切なインセンティブを設計すること=制度設計など)が契約の経済理論となる。


 コメントの時間帯での報告者・コメンテーター・会場の参加者のコメントが面白いものが多かった。以下、自分用メモ


1)アダム・スミスの「犬と人間の違い」。人間は犬と違い交換する。なぜかe人間は犬と違い契約するから。それだけ契約は交換(広義の経済)の基礎


2)契約でカバーできないところで私的所有権の積極的な意義(経済問題の解決に役立つこと)が明らかにされる。ただしこのときの私的所有権と契約理論でいうところの「制度設計」の「制度」とは微妙に異なる(次元がいくつか存在している?)。


3)行動契約理論の意義。信頼などのインセンティブ問題との関連。参考はこれとか
http://obata.misc.hit-u.ac.jp/~itoh/keisemi0304.html


4)契約の経済理論以前のインセンティブ問題の解決手段としての「専門職の倫理」の存在。この論点が3)とも関連。