呉智英『マンガ狂につける薬』


 この人の著作を80年代に読んだときは、まず硬い話題なのに笑えるのが新鮮だった。今回の著作は僕としては10数年ぶりの呉智英体験である。笑えるところは、田中圭一神罰』のところしかなかった。たださすがに大学で漫画について講義している人だけあって、目配りがよく、この一書を読めば、アメコミもいろいろな作品はあることはあるが、やはり多様性の厚みが違うことを確認したりもする。しかも市場規模としては頭打ちではあっても、まさに競争市場(さまざまな差別化された市場も成立)が成立していることが日本の漫画の強みでもあることを再度確認できる。このことは呉氏も本書で別な表現だが簡単に言及していると思う。著作としては、漫画と比較関連させているさまざまなジャンルの非漫画本がいまいちキレと新鮮さに乏しく面白みがなかったのが残念なところだった。


マンガ狂につける薬 下学上達編 (ダ・ヴィンチブックス)

マンガ狂につける薬 下学上達編 (ダ・ヴィンチブックス)


 ところでこの本の冒頭にもあった岡崎次郎夫妻の話はこのリンク先でさらに詳細な記事が読める。

http://www.ohtabooks.com/view/rensai_show.cgi?parent=5&index=2