またすごいエントリーですねえ。竹森先生のハイエク論が収録された『経済学名著と現代』を立ち読みしたのですが(そのうち図書館で読みます、ハイ)、そこで竹森先生がハイエクの中での産業政策の肯定的評価をかかれてまして興味を魅かれました。
ハイエクの考えを竹森先生流にアレンジすると、先進国へのキャッチアップ過程にある国では産業の方向づけとしての産業政策が積極的な意義をもつし、それがハイエクの考えから導かれる、というのが竹森先生の解釈のようです。
これを読みまして、(ほとんど読んでないので間違ったらすみませんが)池田先生がブログでハイエク的な経済思想にかなり強く影響をうけておられるのを拝見しながらも、なんでたまに産業政策的な発言をいわれるのか常々疑問でしたが、そこらへんの符牒が個人的に合いました。まあ、ただそれだけですが 笑。もちろん竹森先生のハイエク解釈が妥当かどうかは、これはまた別問題でしょうね。
なお同書は連載時から面白かったものが補充されている好エッセイ集だと思います。
- 作者: 日本経済新聞社,日経=,日本経済新聞=
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/12
- メディア: 単行本
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(補記)ちなみにキャッチアップ過程で産業政策が正当化されるというのもあやしい話でして、なぜなら目標となる経路が存在するならば、なぜそれを政府だけが知っていて、民間は知りえないか、という問題があるからです。もし仮りに政府と民間にそのような非対称的な知識の偏在が存在しているようにみえるならば、その原因は制度的な拘束性(なんらかの政府の規制)によるものかもしれず、そのためにベンチャー企業者が存在しずらいと考えたほうがいいでしょう。そもそも目標に到達してからの方が(キャッチアップ過程よりも)ベンチャー企業者が多く輩出するという竹森先生の話は僕には少しおかしいなあ、と思えるのです。またハイエクがそんなシナリオを黙認したとはちょっと思えないのです。
なお上の『経済学名著と現代』は猪木武徳先生のトクヴィルの章が秀逸でして、デモクラシーにおける自由と平等のパラドックスを考える上での中間組織の意義について極めて示唆的です。