『Voice』5月号:若田部昌澄・山形浩生論説、『経済セミナー』若田部氏の連載開始


 毎月おなじみの連載を読みました。山形論説「オリンピックに経済効果はない」はオリンピックの経済効果は疑わしい、経済効果棚上げにしてもやる意義もあんまりみあたらない、おまけに東京が開催地になる可能性もないんじゃないか、とオリンピック東京誘致への憂慮を表明したもの。なおオリンピックではないけれども類似の大規模スポーツイベント(W杯)の経済効果について僕も『AERA』に去年書きました(下に再録)。


 若田部論説「またも不可解な日銀の行動」は、アメリカの住宅市場発の金融危機をめぐる現在のFRBの対応への高い評価、その一方での先月2月の利上げに代表される日本銀行の期待インフレ率の低迷の軽視・景気踊り場での利上げスタンスへの批判などが内容となっていて、今日の政策決定会合の報道をみるかぎり、なぜ物価が上昇基調なのかまったく理解に苦しむ総裁の発言を聞くにつけ(詳細はあとで記者会見録を見ます)不可解さは増すばかりです。

 なお若田部さんは『経済セミナー』で今月号から連載「失敗に学ぶマクロ経済政策」を開始してまして、これまた非常に興味のあるテーマが並んでおります。今回は「失敗の経済学」の展望と今後の構成です。毎号楽しみですね。