福井秀夫『司法政策の法と経済学』


 非常に高度な内容の「法と経済学」の日本の制度への適応の書。書評のために献本いただいたものですが、ようやく読み終わりました。法と経済学の日本における成果といえる定期借家権の導入、マンション建て替え要件の改正、などで、日本にも「費用と便益」を考慮した法の経済学の発想が法整備や判例の中に導入されている状況を説明している。さらに日本の司法制度を主に経済的な厚生改善の見地から改良する方途を、司法制度の改正、裁判員制度の長所と短所を明らかにするなかで解明している。比較的分量は薄めなのだが、問題提起の多様性と経済的視点の徹底も合わさり、読みがいのある基本書になっている。広くおススメ。


司法政策の法と経済学

司法政策の法と経済学