たぶん若田部さんから献本いただく。ありがとうございます。若田部さんの第5章「経済学における三つの立憲主義的契機」は、僕の現在の関心と類似した方向にあるような気がします。この論文のテーマは経済学における立憲主義に、公共選択論、情報革命、行動経済学がどのように関連しているかを分析しています。例えば制度とイデオロギー、信念との関係は、僕もこの間の(精神荒廃期の産物であるw)「三木清と笠信太郎」で取り上げたのですが、そこでも行動経済学(例えば一例としてはエインズリーらの議論)を入れ込んでいくと、どうも一種の「カルト」的現象を経済分析の対象としてとり上げていかざるをえないような心境にいまはなっています。そういう僕の関心を抜かしても本書はいろいろ楽しめる論文集ですね(特に外国勢はテロリズムの問題を真正面に取り上げている)。
またブキャナン・タロック流の立憲過程における「不確実性のヴェール」を機軸とした議論、その後の情報の非対称性、行動経済学からのB・T議論への批判的視座なども、いまの僕の問題意識(生存権というまさに立憲的な問題の経済学的基礎を考えるということ)にストレートに結び付き興味が尽きません。というか同門ゆえの問題意識のベクトルの類似性に少し驚き(笑 おそらく経済学史的な方法論を用いたことがこの立憲主義の経済学の方向性を明白にすることに成功していると思われますのでぜひ一読されることを望みます。またこのブログでも最近急速に話題になっているサスティーンの議論(行動法ー経済学もそのひとつ)にも言及がありその意味でも個人的に驚いてます。勉強になりました。
- 作者: 川岸令和,藪下史郎
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/03
- メディア: 単行本
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(補)上記著作に僕より早く触れられてる田村哲樹さんのブログを初めて読みましたが、田村さんの新刊は個人的に非常に興味ありますね。