外国人投資家についての基礎知識を得るには優れた著作だと思います。僕も市場外w関係者だからこの種の入門書は便利に感じました。特に個人的にはいくつかの統計・ソースの入手先が明記されていることがお役立ち本としての意義を高めているように思えます。ただ後半にいくにしたがって、「外国人投資家の好む政治家」だとか、主観入りまくりの記述ばかりになるのがややつらい読書にはなります。新書レベルではほかに代替的な書籍もないので先駆的な貢献として評価されるのではないでしょうか。
最近の世界同時株安に関連すれば、日本の株式市場が外国人投資家の動向に大きく左右され、その外国人投資家の行動は日本の経済そのものよりも米国経済の動向を重視して決まるということが本書でも強調されています。以下にまとめ的部分を引用。
「外国人投資家が日本株を買うパターンはいつも一緒です。中略 日本の内需は堅調ですが、日本企業の収益の海外依存度は高まっています。日本株を発展途上国の株式と同じ特性を持っていると考える外国人投資家がたくさんいます。世界景気(特に米国の個人消費)が回復→日本の輸出または現地生産・販売が回復→日本の輸出関連大企業の収益が増加→内需系企業や中小企業の収益が回復→日本の内需が回復という関係があるからです」(96-7頁)。
外国人投資家風ダム論をこの本は多角的に説明していて参考にはなります。
- 作者: 菊地正俊
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2007/01
- メディア: 新書
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