『ヤバい経済学』よりもヤバい書評

 下のブログ研究のおまけです。

 実験経済学、ゲーム理論の権威アリエル・ルビンシュタインの『ヤバい経済学』への書評“Freak-Freakonomics”がスティグリッツらの編集するThe Economists' Voice2006年第3巻に掲載されています。題名からもわかるようにちょっと風変わりな書評で、ルビンシュタインが『超ヤバい経済学』という自著の紹介という体裁で書いています。

http://www.bepress.com/ev/vol3/iss9/

 面白く書かれていますが、時に(少しだけ)辛らつな指摘もしています。例えばレビットたちの本の核心的な矛盾は、統計的な手法に時に懐疑的なスタンス(回帰分析は限定的なツール、とかの発言)をみせながらも、自分たちの主張を説明するときには「魔術師の箱」よろしく使用している、と指摘しています。


 他には、「典型的な売春婦は典型的な建築家よりも高給なのはどうしてか」という問題に、レビットたちは①沢山の人がやれて、なおかつ沢山の人が希望する仕事は低賃金(→「ちっちゃい子は売春婦になりたいと夢見て大きくなることはない」)、②特殊技能の存在の有無、③仕事のつらさが大きいと報酬大きい、④仕事への需要が大きいと報酬も大きい とう理由で説明しています。これに対してルビンシュタインの“本”では、「典型的なエコノミストは典型的な数学者よりも高給なのはどうしてか」と問題を入れ替えて、「ちっちゃい子はエコノミストになりたいと夢見て大きくなることはなない」けれども、エコノミストが高給なのは依頼人の意見を正当化するからであって、数学者はそんな真似ができないからだ、と僕からみても実に正しいw指摘をしています。

 なかなか茶目っ気のある書評でした。