玄田有史・斉藤珠里『仕事とセックスのあいだ』


 アクティビティXの経済学については
 偽りのオーガズムの経済学
 オーラルセックスの経済学
 エル・ホディリの定理続き
 を参照ください。


 実はかなり前に読んでまして感想書くのを忘れてました。全体の感想としては、仕事とセックスのつながりはこの本でリードしたいような方向(職場の環境改善するとセックスレス改善、セックスレス改善すると少子化対策にも寄与など)よりはやはりかなり複雑なもので、仮にこの本でリードしようとする方向に政府が取り組んだらえらい迷惑+ニート論のときと同じ予算の無駄遣いwに拍車がかかりそうですが、おかげさまで?そんなに盛り上がってないようでなによりです。セックスの産業政策はどうもねえ。ニート論のときもそうですが、ニート対策というそれ自体は重要な問題も玄田マジックにより長期停滞の産物とされてしまい各種(霊感商法なみの)ニート産業やニート利権の誕生やら左翼の方々の若者叱り(その言説を批判する人もニュー左翼wというニート言論誕生)の場となりました。セックスレスや職場の環境改善というそれ自体は重要な問題が、セックスの政府が関与する産業政策とリンクすることでなんだかきな臭いものに変容したらいやだな、と思うのです(でも杞憂でしたかそいうですかw)。


 あと職場の環境とセックスレスの関連ならば、安野モヨコの『働きマン』でも読んで、そこにおける松方と梶を対比させたほうが興味深いと思うけどね。ただ『アエラ』の調査は面白いものが多いのも事実で、これは今後も参照していきたい。例えば労働時間が長くなるとパートナー以外とのセックスが増加するハッキリした傾向とか*1。労働時間が長いことも含めているだろう職場のつらさが増すと夫婦間のセックスレス傾向が特に夫で急上昇していることとか。しかしこれは希少性で考えるとわかる気がする(少ない時間と量的に限られたふたつの選択=妻と愛人とのセックス)。愛人のとのセックスの方が希少性が高くより多くの時間を割くが、妻とのセックスは希少性に劣るので少ない時間しか割かない、のではないだろうか。ダイヤモンドと水 以下略。


 

仕事とセックスのあいだ (朝日新書 24)

仕事とセックスのあいだ (朝日新書 24)

 あたりまえだがこっちの方が面白い。

働きマン(3) (モーニング KC)

働きマン(3) (モーニング KC)

*1:本書では長い労働時間を隠れ蓑にして不倫しているというなんともはやな<それだと本書の主張=職場環境の悪化 という実態が崩れるだろうが 苦笑>というなんともはやな説明が下されている