「景気実勢」と東証株式時価総額についての試考

 たまたま中里透先生が数年前にsynodosに寄稿した論説を読んだので、そこに掲載されていた図表を現時点まで拡張してみた。

 なお名目GDPは四半期、株式時価総額は各四半期の最後の月データを利用。


アベノミクス以降での上昇傾向は明らかだが、少なくとも昨年末までは「景気実勢」(上記の中里論説の言葉を拝借)を大きく離れている印象はない。

 

ただ今年の第一四半期は急上昇してる可能性が大きい。おおかたの予想では、能登半島地震の影響やまた暖冬での消費の低迷などで名目GDPもそれほど前期比では拡大はしないかもしれない。暫定的にだが、2024年2月末の東証株式時価総額977,208,019 (百万円)と、現時点での政府の今年度(2024年度)推計の名目GDP615兆円を比べると、その比率は約1.59となる。昨年の第四四半期が1.45なのでかなりの増加である。もちろん今年の第一四半期はさきほど書いたようにマイナス成長の可能性が高い&三月末の株価も二月末に比べて高いということをくらべると、1.6を大きく上回る可能性もある。これを「景気実勢」とみるかそれとも過熱気味とみるか。もちろんここで試考しているのは、マクロ的な観点での評価にすぎないが興味深い。

 

単純比較できないが、あえて比較すると、バブル最終期の1989年12月29日の東証株式時価総額は611,151,873 (百万円)。名目GDPは約405兆円ほど。比率は、1.51程度である。つまり単純比較はできないが(何度も念為)、昨年末までとは異なり、今年に入ってからすでにバブル期を大きく上回る比率になっている可能性がある。

 

とするとマクロ経済的な観点からは下方への調整局面が生ずるかもしれない。あくまでもひとつの試考であり、今後のデータなどで見直していきたい。

 

現場からは以上であるw。

 

おまけ