ハーバート・A・サイモンと制度の合理性の限界とその強化

サイモンの業績はいつも気になりなりながら、なかなか追えてないのだが、この山形浩生さんの『人間活動における理性』の改訳とそのアンチョコ(=要旨整理)は助けになる。限定的合理性と制度の関係はなにより興味深い。

 

制度自体が人間の限定合理性を引きずるものである、という観点は制度の不完全性をめぐる議論につながっていき、今日も未解決で重要な問題。特にいまの新型コロナ危機のようにナイト的不確実性が高い状況(一時期ほどはかなり減退している)では、サイモンの議論は一般論として参照軸になると思った。

 

ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』アンチョコ - 山形浩生の「経済のトリセツ」

 

また公的情報のバイアス、特にメディアと知識人との関係については重要で、単に「知識」だけでは公的情報のバイアスを明らかにし、それを正すことが必ずしもできない、というのは実感レベルでもわかる。