山形浩生『訳者解説 新教養主義宣言リターンズ』

 個人的にも嬉しい山形さんの最近訳した本の解説の一挙収録+その解説の解説つき。

 しかし考えてみれば、山形さんや稲葉さんたちと知り合わなければ僕の人生もつまんないものだったろう。彼らの翻訳や本を読んだ人も同じ感想を抱くに違いないと信じている。特にこの解説が付された翻訳には一貫したテーマが流れていると思う。それは「人間の選択の意味」というものだ。無意識、意識、そして外部からの条件付けなど、それらの話題の中で、常に問われているのが、人の平平凡凡な日々の選択とそれが伴う興味深い(あるいはこれまた凡庸な)結果の意味を、よ〜く考えていこう、というのが、僕が最近の一連の山形さんの訳業から得ている重要なメッセージである。

 ちょうど「新教養主義」とはどんな意味なのか考えていたこともあり、本書でその最新の全貌を知ることができるのも嬉しいことである。

 ところで本書に収録された解説がついた訳書について、このブログではどんなことをいままで書いてきたであろうか? 以下はそのリンク一覧である。

スーザン・ブラックモア『「意識」を語る」(山形浩生・守岡桜訳)
書評『誘惑される意志』
書評:『服従の心理』
ウンコな議論、またでたー
ウンコがちょうどいい肥料になりますた
イアン・エアーズ(山形浩生訳)『その数学が戦略を決める』
山形浩生&守岡桜『数学で犯罪を解決する』(キース・デブリン&ゲーリー・ローデン)
ハロルド・ウィンター『人でなしの経済理論 トレードオフの経済学』(山形浩生訳)

訳者解説 -新教養主義宣言リターンズ- (木星叢書)

訳者解説 -新教養主義宣言リターンズ- (木星叢書)