オリヴィア・ジェイムス『ナンシー』(DU BOOKS)

長く米国で愛されてきた新聞マンガ『ナンシー』の翻訳。日本の多くの読者には初めて触れる作品だと思う。僕も米国の新聞マンガの世界には疎く、『ナンシー』を読んだのはこれが実は初めてである。実は日本の新聞マンガにもあまり関心はない(そもそも新聞を30年以上とってない 笑)。だが、そんな塩対応(?)の読者である僕でもこの作品は面白く読めた。

 

現代のSNSなどやそれを通じての承認欲望をうまくとりいれた作品という側面はもちろんあるんだろうけど、それよりも伝統的な教育やさまざまな伝統的行事への軽い距離感が絶妙である。「軽い距離感」は批判というわけでもなく、また無関心というわけでもない。

 

なんともうまく表現ができないが、この作品のモノゴトへの軽い距離感こそ、いまの新型コロナで「社会的距離」を強制され、それに従わなければいけない世界と、見事なぐらい断絶もしていて、いろんな意味で深読みもできる。

 

米国の文化、あるいは新聞マンガの世界の一端を知る上で必携である。