2018-01-11から1日間の記事一覧

『モンストレス vol.1: AWAKENING』(G‐NOVELS)

椎名ゆかりさんの訳はどの作品も読みやすく、本作のように入り組んだ作品世界を読むときには特に助けになる。ゴシック・ホラー、スチームパンク、日本的な伝奇小説的雰囲気などいろんな要素が混在化して、グロテスクな世界像を生み出している。ただしヒロイ…

いしいさや『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』(講談社)

Comic NoseとはEconomicsのアナグラムである。Kindle版で日本のマンガを読むようになってしばらくたつが、本作は単行本で購入していろんな人に貸してもよかったかもしれない。 幼少期から思春期まで、エホバの証人の信者である母親に強く影響され、その信者…

倉菌紀彦(ジュール・ヴェルヌ原作)『地底旅行』全四巻

偏屈で狂気じみた熱情をもつ地質・鉱物学者とその甥、そしてアイスランドで雇ったガイドの三人による地球の中心を目指す地底冒険譚である。原作はSFの祖のひとり、ジュール・ヴェルヌの作品。幼少のころに読んだきりの作品だが、それでも地底湖の恐竜たちの…

ビルギット・ヴァイエ『マッドジャーマンズ ドイツ移民物語』(花伝社)

1980年代、モザンビークの社会主義政権は、外貨獲得のために若者たちを当時の「兄弟国」東ドイツに期間労働者として派遣した。この作品は、遠い異邦の生活で青春を送った三人のモザンビークの若者(男二名、女一名)に焦点をあてて、それぞれの人生がどう変…