倉菌紀彦(ジュール・ヴェルヌ原作)『地底旅行』全四巻

 偏屈で狂気じみた熱情をもつ地質・鉱物学者とその甥、そしてアイスランドで雇ったガイドの三人による地球の中心を目指す地底冒険譚である。原作はSFの祖のひとり、ジュール・ヴェルヌの作品。幼少のころに読んだきりの作品だが、それでも地底湖の恐竜たちの格闘や火山からの脱出などは記憶に鮮明である。しかも後継の作品にそのモチーフが繰り返し利用されてもいる。

 本作は古典のマンガ化とはまさにこうあってほしいな、という典型である。小説をマンガ化するということは単に
文章を絵にするということ以上で、そこに原作者とは異なる幻視的能力が必要になるのかもしれない。

 抑制のきいた作品であり、地味だがお勧めである。

地底旅行 4 (ビームコミックス)

地底旅行 4 (ビームコミックス)