マルクスの切手関連で、窪俊一氏の一連の業績を知ることができてとても刺激をうけました。マルクスについての一枚絵のカリカチュアを150年間、1500枚も収集し、そのうち600枚を収録したGruess Gott! Da bin ich wieder!: Karl Marx in der Karikatur(2008)は、今回、マルクス切手を収集するまで知りませんでした。しかしこれは楽しくまた深い世界が展開されてます。この著作は窪氏とほかにR.ヘッカー、H.ヒューブナーの三人の共著です。
マルクスを経済学者と言い切ることはまったく正しくはないでしょうが、それでもあえて経済学者とすればこれほど長期間、多様な形でカリカチュアになった人はマルクスしかいないでしょうね。本書の趣旨や概要は、窪俊一「カール・マルクスとカリカチュア」『日本の科学者』2017年9月号で読むことができます。またこちらのエッセイには書籍の方では触れられてない日本のマルクスについてのマンガの情報もあり便利です。
上記の書籍にはマルクスの切手も初日カバーや絵柄の多様なものを中心に60点ほど収録されてます。これからの収集に役立ちそうですw
それと窪氏は『マンガ研究』の最新号(2018年)認知処理過程を実証的に論じた「マンガの読みにおける状況モデルの更新」(和田裕一、三浦知志、窪俊一)でも注目すべき貢献をしています。マンガを読むことと小説を読むことを、状況モデルを利用してその共通点と差異を検出しています。特に「文脈理解リテラシー」「コマ理解リテラシー」などの注目点は、以前自分でも考えたことのある問題だったので参考になりました。
こういう最先端で実証科学的なマンガ論はとても面白いですね。

Gruess Gott! Da bin ich wieder!: Karl Marx in der Karikatur
- 作者: Rolf Hecker,Shunichi Kubo,Hans Huebner
- 出版社/メーカー: Eulenspiegel Verlags Gmbh
- 発売日: 2008/02
- メディア: ハードカバー
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