1980年に読んだ本を40年近く経って、その新版を再読するとは思いませんでした。福岡先生による経済学入門兼概説といった内容で、方法論の議論や経済学を学ぶ人たちの心構えから始まって、ミクロ、マクロの核心部分を数式など一切使わずに解説していて今でも十分に楽しく読めます。
特に前回読んだときには何気なくスルーしてましたが、厚生経済学関係の記述がやはり充実していて、ライオネル・ロビンズの思考型についての解説や留保については参考になりました。またジョーン・ロビンソンの『マルクス経済学』における労働価値論批判は、最近同書を再読したので興味深いポイントでした。またケネス・アローの新古典派総合批判は、不完全雇用の状態では政府介入が必要で、完全雇用になれば市場の自律性に任せるという発想の矛盾の指摘は今でも政策的にも重要な論点でしょうね。
最後に新たに加わった一般均衡とゲーム理論の章もこの分野への導入記事としては簡潔で初心者にわかりやすいものです。
- 作者: 福岡正夫
- 出版社/メーカー: 泉文堂
- 発売日: 2017/07/01
- メディア: 単行本
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