ギリシャ国民投票、緊縮案を事前予想を覆し大差の否定

 ギリシャ国民投票が反対票が事前予想よりも圧倒しているという報道をうけて簡単なメモ。

 高橋洋一さんの下の記事のように、ギリシャが「EU残留」「ユーロ離脱」を選んだとして、自国通貨のドラクマを再発行しなくてはいけない。

高橋洋一国民投票実施でも混乱は必至!ギリシャ経済危機「唯一の解決策」を教えよう 」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44049

 では、実際にユーロ圏を離脱して自国通貨を再発行するまでどのくらいの期間が必要なのだろうか。クロアチア中銀総裁のコメントなどを利用した記事を、タイラー・コーエンはブログで引用していた。その記事によれば半年かた二年ほど。さらに問題なのはどのように国民に新通貨を効率的に再分配できるかがキーになる。

コーエンのブログの記事

 ところでユーロ圏を離脱し、経済の対外調整が行われるときのキーは、インフレ率と成長率の両者だ。高橋さんの記事にもあるように、過去のギリシャは自国通貨安(その裏面での高いインフレ率)で実質債務の調整を行ってきた。かりにユーロから離脱してドラクマを再発行したときのインフレ率はどのくらいだろうか。これについては、数日前に矢野浩一さんが以下のような図をtwitterに投稿してくれたので参考になる。
https://twitter.com/koiti_yano/status/616990822395850752

この図によれば1990年からユーロ圏に参加するまでのギリシャ経済は高いインフレ率(20%から5%前後)を経験する一方で失業率は10%前後、他方でユーロ圏参入後は失業率は8%から20数%までの高い失業率と低いインフレ率を経験している。簡単にいえばユーロ圏参入後は、インフレ率が「低すぎる」ため雇用や成長率などの「犠牲」が大きかったといえるかもしれない。高橋論説にあるように、ギリシャは「高いインフレ」を利用して経済調整を行ってきた、そういう体質の経済なのだろう。

ドラクマを再導入したときはどうだろうか。おそらく以前経験した中でも最上位の高いインフレ率を経験する可能性が大きいだろう。