戻ってきたブーメラン&「外堀を埋められた増税派」(飯田泰之in『Voice』11月号)

 飯田泰之さんの「外堀を埋められた増税派」(『Voice』11月号)を読む。

 第二次安倍政権の9月の内閣改造の評価で、閣内や党の要職に増税派を「取り込んだ」形になっていることを指摘し、これは増税シフトよりもむしろ増税派へのけん制としても解釈できることを指摘。さらに本田悦朗氏の増税批判発言などブレーンの行動、山本幸三衆院議員の増税への否定的発言、海外メディアでの増税への否定的な見方の紹介、甘利大臣の慎重姿勢がより踏み込んでいるなどを列挙しています。そして大臣級の慎重姿勢があっても長期国債金利は無反応であることをみると、これは増税国債公約でも国債価格の安定に寄与するわけでもないことを指摘しています。

 飯田さんはTwitterでもそんなに増税取りやめで国債価格の不安定化が心配ならば、首相をはじめとして少しずつ増税への慎重姿勢の度合いを強めていき、事実上の「増税取りやめの地ならし」をすることで、国債市場取引関係者の予想を安定させることも一案だと書いていました。それも一案でしょうね。

 ちなみにエントリーに「戻ってきたブーメラン」と書きましたが、山本幸三議員の「戦線」復帰を意味しています。

このTweetでも書いてますがhttps://twitter.com/hidetomitanaka/status/519865702576963585、与党のしかも首相に助言できる可能性も大きい山本さんが党内でさまざまな勉強会を再起動したりして、増税へのけん制や日本銀行の追加緩和などに積極的な姿勢をみせること、そしてそれをわれわれ国民が応援することが非常に重要です。ぜひ期待したいと思います(ただし政治家=機会主義へのバイアスをもった人であることは常にどの政治家でも念頭においておくべきです。問題はそのコミットする姿勢がどのくらい現時点で濃いか、そこに期待のすべてがかかっていると私見では思っています)。

山本幸三議員の最近のコメント
インタビュー:追加緩和、物価 目標達成のため必要=自民・山 本氏http://sp.m.reuters.co.jp/news/newsBodyPI.php?url=http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKCN0HX0OT20141008
消費税率10%:自民・山本氏「予定通りやるのは無理だ」 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/select/news/20141003k0000m010029000c.html
自民・山本氏:1ドル=120円まで円安進行も−日銀緩和継続で - Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ND2OPZ6JTSED01.html

過去の関連エントリー
山本幸三議員が放つ巨大なブーメラン
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20130917#p3
復興増税、消費税増税はデフレ経済を悪化させる
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20110915#p1