波頭亮氏との間で交わした経済問題についてのつぶやきまとめ

 12月9日の夜に波頭亮氏との間で交わした僕のつぶやきを整理しておきます。もともとの波頭氏のつぶやきなどを含む一連のやりとりは、僕の12月9日のTwilogで検索してください。

まずアベノミクス=リフレ派と考える時点で間違いです。再分配政策や成長戦略についての我々の見解をどれだけご存知なのか? RT @ryohatoh 再分配政策の欠落、成長戦略のお粗末さが最大の要因でしょうね。当人達にとっては、分からなかった方が恥かもしれませんね。
posted at 21:38:18

以下は、上記の発言以降、波頭氏向けにつぶやいた発言をコピペ。重要なものはゴチックや赤字にした。


さらにリフレ派はトリクルダウンも採用してません。実際に非正規雇用や新卒採用(しかも就職べたな層)の改善が先行しないとよくならないと考えてるのです。これもあなたの理解不足。RT @ryohatoh 既に欧米で実施済みの金融緩和がトリクルダウンに繋がらなかった事実の認識が弱いのでしょ
posted at 21:39:47

アベノミクス=リフレ派と誤読する悪弊あり。我々の本をよんでない証拠だ。例えば片岡剛士さん『アベノミクスのゆくえ』、若田部昌澄さんの『解剖アベノミクス』ぐらいは読むべきだと思う。おおざっぱにいって第一の矢は合格点、第二の矢は平均点以下、第三の矢は失格、だ。再分配政策も熱烈議論だ
posted at 21:47:13

そもそも政策を議論している経済学者・エコノミストの中で、再分配政策に特に比重を置いているのが、リフレ派の特徴でもあるのに。生活保護の右派&保守系からの誹謗中傷含めた批判に、一貫していち早くまた持続して異論を唱えて、その制度的重要性も強調してきた。まあ、こういう誤読は飽きてるけど
posted at 21:49:19

アベノミクス=リフレ派ではないことは常識として念頭に置いてください。その上で成長戦略の有効性への疑問はリフレ派の多くの著作が共通して指摘しているところです。RT @ryohatoh 私の論点は、アベノミクスによる格差拡大の懸念と、成長戦略の有効性に関する疑問です
posted at 22:09:54

アベノミクスによる格差拡大の懸念ですが、日本の経済格差のキーは「貧しい人が多い」ということです。そのため経済規模拡大は貧困層に減少に寄与することでかなりの格差縮小効果あり。RT @ryohatoh 私の論点は、アベノミクスによる格差拡大の懸念と、成長戦略の有効性に関する疑問です。
posted at 22:13:07

経済規模を拡大する政策としてアベノミクスの第一の矢は効果があるでしょう。さらに経済規模の拡大と連動した再分配政策の強化(給付付き税額控除制度など)があればいいのですが、アベノミクスではこの後者の点で不足はあるでしょう。@ryohatoh
posted at 22:17:11

いまのところアベノミクスの経済規模拡大政策は成果をあげてますし、貧困が日本の経済格差の根源ならば、極端に悲観的になるのは間違っていると思います。少なくとも具体的なデータでなにか悪化の兆候があるのでしょうか? 失業率の減少みてもかなり効果がありますが。@ryohatoh
posted at 22:21:14

アベノミクスにほころびが目立つことは理解できます。消費税増税についても、むしろ第二の矢的なもので、恒久消費「減税」を対応策にするくらいの気構えができる政治家を欲しています。ただ現実には難しいので、減税や公共事業の組合せで乗り切るのでしょう。金融政策も出番です@ryohatoh
posted at 22:25:23

これは余談だがいまの日本銀行の消費税増税効果に対する楽観的シナリオと、黒田総裁の楽観発言の組合せは、追加緩和するにはいい口実になる。昔の日銀だとシナリオが狂うとそれを下方修正して「シナリオ通り」として何もしなかったが、いまの日銀だとむしろ追加緩和しやすい口実に転用できる可能性あり
posted at 22:28:31

了解しました。ありがとうございます。RT @ryohatoh ご丁寧に、感謝。私の最初のツイートは、アベノミクスと、リフレをやれば全てが良くなると主張していた乱暴なエセリフレ派に対するものです。
posted at 22:29:15

論点はわかりました。RT @ryohatoh 私が気にしているのは、勤労者賃金の低落傾向が持続していること。にもかかわらず、消費増税が迫っていること。所得は上昇せず、資産価格が上がって格差が拡大するであろうこと。GDPの(修正後の)成長率が思いの外、小さかったこと。などです。
posted at 22:40:58

まず「デフレ不況」という言葉があるのですが、「デフレ」と「不況」という二つの要素からなるという理解が重要だと僕は考えます。簡単な解説をこの動画の37分以降に説明しておきましたのでぜひ波頭さんのフォロワーの方々にも見ていただきたいですhttp://www.ustream.tv/recorded/4139323@ryohatoh…
posted at 22:46:56

日銀の政策転換は「不況」対策にも貢献しますが、同時に決定的なのは「デフレ」脱却に貢献したことです。これは(水準が低く問題ではありますが)名目成長率目標を採用していることにも矛盾しません。いわば短期から長期にかけての日本経済の体質改善が行われてる最中です。@ryohatoh
posted at 22:50:48

この(今現在から長期にかけての)デフレ体質からの体質改善政策が、日本銀行の政策であり、日銀が守ることを公約していることがまずおさえておくべき前提です。この「公約」は、消費税増税があろうがなかろうが独立して「公約」の位置を保持していることに注意してください。@ryohatoh
posted at 22:53:12

安倍政権では財政政策も年初の補正予算などを含めて積極的であり、金融政策とあわせて「デフレ不況」の解消に貢献しました。ただ財政政策はその(現状の手法からいって)性格上、あくまで「不況」対策であることをおさえておくべき二点目として指摘したいと思います。@ryohatoh
posted at 22:57:58

この二つの前提をおさえた上で、とにもかくにも安倍政権の積極的な金融と財政の併用で、景気は上向きました。しかし単純化ですが、資産市場の「改善」→消費投資の改善→失業率が完全失業率へ→御懸念の「勤労者賃金の低落傾向」への歯止めから上昇へ、と大枠、時間がかかります@ryohatoh
posted at 23:01:40

まだいまの段階では、失業率がかなり低下(有効求人倍率の改善など)もありますが、まだご指摘のように勤労者賃金が大幅に改善してません。ここで消費税増税は、その性格からいうと所得を落ち込ませる可能性が大きく、また株価など資産価格にも悪影響をもたらすでしょう。@ryohatoh
posted at 23:05:54

景気が下降すれば株価や多くの資産価値は低下します。所得は減少するので「資産価格が上がっての経済格差拡大」よりも日本の経済格差の真因である「貧しい人が多いこと」が悪化する可能性が大きくなります。ただし日銀が「公約」を守り、マッチポンプの政府支出が増加すればどうか。@ryohatoh
posted at 23:09:27

日銀が「公約」をまもるならば、消費税増税を契機にまた日本経済が何年もデフレ体質のままに嵌るということは考えるのは難しいと理解してます。しかし一時的にであれ、経済の落込みを不可避にするだろう政権は批判されるべきでしょう。「一時的」が個々の人生を大きく作用するだけに@ryohatoh
posted at 23:14:10

GDPの修正値が小さいことはそれほど過大に問題視するほどではないと思います。他の指標(雇用、物価など)も合せてみればまだ悲観する事態には遠いと考えてます。というかいまの素のデータだけみたら「悲観」という文字はまずでてきません。@ryohatoh
posted at 23:16:37

いろいろ書きまして失礼しました。波頭さんも同じだと思いますが、春先の増税で景気が屈折したら最も割を食うのはその時期に次年度の採用計画に直面している学生たちであることにもお気づきだと思います。もちろんそれだけではないですが。@ryohatoh
posted at 23:20:12

波頭亮氏関連の過去エントリー
波頭亮『就活の法則 適職探しと会社選びの10カ条』http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20071215#p4
波頭亮山崎元・村上尚己・田中秀臣小幡績・吉本佳生・神谷秀樹『経済危機「100年に一度」の大嘘 CONUNDRUM 2009 Summer』 http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20090606#p3