2013年に出版された経済書で心に残るベスト20 発表!

 100名近い方々にご協力いただいた経済書ベスト3、その集計ができました。すでに5日のトークイベント席上で報告させていただきましたが、ここでブログ版をご紹介します。ご協力いただきました皆様どうもありがとうございました! 僕も改めて振り返って参考になりました。今年はやはりアベノミクス、リフレの年だったんだなあ、と実感した次第です。そして課題も山積で、まだ一年も一月ありますのでこれからもそして来年以降も頑張らないといけないと、このベスト20を作りながら思いました。みなさんのご教示よろしくお願いいたします。

 さて2013年の経済書の第一位を獲得したのは以下の本でした。得票総数は第二位と合わせると全体の三分の一近くを集めて、二位と5ポイント差の大接戦でした(ちなみに私の票はどの本にもカウントしていません)。

1位 『日本経済は復活するか』 田中秀臣編著

消費税増税決定以後、もっとも早くその対策について書かれた経済書です。リフレに賛成な論者を中心にして、論説、座談会などが充実し、そしてリフレに反対な人たちの意見も収録しバランスをとりました。実際に編集していてもとても面白く感じました。本当に皆さんに1位に選んでいただき、執筆者を代表してお礼を申し述べます。

第一位受賞作『日本経済は復活するか』執筆者一覧
田中秀臣(編著)       浜田宏一
   片岡剛士        原田泰
   高橋洋一        安達誠司
   中村宗悦        若田部昌澄
   松尾匡          西部邁
   田村秀男        中島将隆
   榊原英資        ロベール・ボワイエ
特別協力:質問者2他シンポジウム参加の皆さん

日本経済は復活するか

日本経済は復活するか

第2位 アベノミクスのゆくえ 片岡剛士著

片岡剛士さんのコメント

沢山の方々に拙著『アベノミクスのゆくえ』をご覧頂き、また居並ぶ類書の中から、2013年の心に残る 書籍の一冊に挙げていただきまして、誠にありがとうございます。 本書の中でも書きましたとおり、この本の骨格は2年前に出来上がっておりましたが、昨年12月末に誕生した 安倍政権の政策転換を踏まえ、年度末のタイミングで休み無く必死に仕上げた本です。経済関連の本、特に 現状の日本経済の動向を扱った本は公刊されて数ヶ月経つと内容が古くなることが避けられないのですが、 本書の視点は今でも十分に通用すると自画自賛しています。それは逆に言えば残念な事といえるかもしれません。 「大胆な」金融政策につきましてはインフレ目標の設定や日銀新執行部の成立、新たな金融政策といった予想を 上回る展開で着実にデフレからの脱却が進んでいます。ただ日銀法改正までの道のりは遠そうです。 「機動的な」財政政策は消費税増税を判断するタイミングである13年4−6月期のGDPを底上げすることに成功し、 消費税増税論争に大きな影響を与えました。消費税増税インパクトは当時判断できる情報を利用して『日本経済は 復活するか』でも取り上げました。ただ、14年4月からというタイミングでなくても良かったのではないか、税収も上ぶれ している現状を鑑みるとデフレからの完全脱却を待ってからでも良かったのではないかと今でも感じております。

3位 『そして日本が世界の希望になる』 ポール・クルーグマン

4位 『アメリカは日本経済の復活を知っている』浜田宏一

浜田先生の本は去年の出版で、去年も第5位でしたが、根強い人気で今年も上位に。両方足すと断トツの1位でした。

アメリカは日本経済の復活を知っている

アメリカは日本経済の復活を知っている

5位 『リフレが日本経済を復活させる』岩田規久男浜田宏一・原田泰(編著)

原田泰さんのコメント

岩田先生、浜田先生と共編著で書かせていただいた本書は、なるべく分かりやすく と心がけましたが、小難しい部分もある本になってしまいました。そんな本に、多く の方々から「心に残る」という評価を頂いたのは望外の喜びです。金融政策によって デフレから脱却できる、その過程で、生産と雇用が拡大し、国民の生活水準を高める ことができるということを、論駁の余地がないように示そうという執筆者の情熱を理 解していただけたのだと思います。
 投票して下さった皆様、本当にありがとうございます。大胆な金融緩和の必要性を 長く唱えてきた執筆者一同とともに感謝いたします。願わくは、金融政策についての 誤った考えが一掃され、日本が2度とデフレには陥りませんように。

6位 『経済学者たちの闘い(増補版)』若田部昌澄著

若田部昌澄さんのコメント

ご支持いただきましてありがとうございます。この本は、これまでのどの本にもまして個人的な思い出がいっぱい詰まっています。私が最初に出した単著、しかもいわゆる経済論壇に関わった最初の本というだけでなく、田中さんをはじめとする濃くて熱い人々との共同作業の記録でもあります。ことに思い出が深いのは補章「リフレ戦記」に出てくる「伝説のエコノミスト」故・岡田靖さんです。昨年の11月14日以来、今の日本経済の状況を岡田さんに見せたかったと何度思い、また岡田さんならばどう分析しただろうかと何度自問自答したことか。いずれ、この時代も
歴史となり、私自身も含めて多くのことは忘却されていくでしょうが、岡田さんがいたことの記録はどこかに残しておく必要があると思います。


経済学者たちの闘い―脱デフレをめぐる論争の歴史

経済学者たちの闘い―脱デフレをめぐる論争の歴史

7位 『日本人はなぜ貧乏になったのか?』村上尚己著

村上尚己さんからのコメント

アベノミクス発動で日本の金融政策への関心が高まる中で、金融政策とデフレ問題について、Q&A方式で、図表を多様するというコンセプトで執筆しました。アベノミクスへの世間の注目が高まっていた1月末という早いタイミングで出版できたことが、多くの方にお読み頂くことに繋がったのだと思います。本自体は一般読者向けの平易な内容で、先駆者である先生方などが執筆される骨太のリフレ論の足元にも及びません。ただ、平易な内容であっても執筆を通じて、リフレ政策や経済問題への理解を自分なりに深めることができたこと
は、私にとっても収穫になりました。

日本人はなぜ貧乏になったか?

日本人はなぜ貧乏になったか?

8位 『日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉』 田中秀臣

 ありがとうございます! かなり嬉しい選出でした。アイドルと経済は表裏一体の関係です!

日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉

日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉

9位 『まずデフレをとめよ(増補)』岩田規久男編著

日本経済再生 まずデフレをとめよ

日本経済再生 まずデフレをとめよ

10位 『リフレは正しい』岩田規久男

リフレは正しい アベノミクスで復活する日本経済

リフレは正しい アベノミクスで復活する日本経済

10位 『解剖アベノミクス』 若田部昌澄著

若田部昌澄さんのコメント

ご支持いただきまして、ありがとうございます。片岡剛士さんの『アベノミクスのゆくえ』という強力な競合書が少し前に出たのは大きな、予測可能な誤算でした(笑)。もっとも、この時期にアベノミクスについての自分なりの考えを示せたことには満足しています。本書に多少でもメリットがあるとすれば、日本経済についての意見の違いがどこから生じるのかを意識して書いたことでしょうか。アベノミクスについての最近の考えは、田中さん編著の『日本経済は復活するか』に書き加えましたので、そちらもご参照ください。来年はもっと
景気がよくなるといいと思いますが、なにしろ4月には・・・。

解剖 アベノミクス

解剖 アベノミクス

12位 『「アベノミクス亡国論」のウソ』 上念司著

上念司さんのすべての受賞作のコメントは以下の動画でご覧いただけます。
http://www.ustream.tv/recorded/41393123

13位 『アベノミクスの真実』 本田悦朗
アベノミクスの真実

アベノミクスの真実

13位 『夜の経済学』  飯田泰之荻上チキ著

飯田泰之さんのコメント

歴史ある年間経済書ベスト20にノミネートいただき大変光栄です.今後ともその 名に恥じないよう粉骨砕身,七生報国の思いでがんばりたいと思 います……って か両方ともいわゆる経済書ではないところに僕の研究のサボりっぷりが際立って るなぁと.来年は『飯田のミクロ』か『現代日本経 済とマクロ経済学』あたり で受賞(?)したいと思います.

夜の経済学

夜の経済学

13位 『悪中論』 上念司著

悪中論 ~中国がいなくても、世界経済はまわる

悪中論 ~中国がいなくても、世界経済はまわる

16位 『思考の「型」を身につけよう』 飯田泰之

思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント (朝日新書)

思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント (朝日新書)

17位 『異次元緩和で起こるとてつもない日本』 上念司著

異次元緩和の先にあるとてつもない日本

異次元緩和の先にあるとてつもない日本

18位 『リフレが正しい』 ベン・バーナンキ

訳者を代表して赤井誠さんからのコメント

僭越ながら、翻訳者チームを代表してコメントさせていただきます。本書は、バーナンキの発言は、講演録という内容にとどまらない非常に示唆の富む内容になっています。さらに、高橋洋一先生が各講演録ごとに解説するという構成のため、より読者の理解が深まる構成になっていることが支持されたのではと考えています。FRBのウェブサイトには、翻訳されていない多数のバーナンキだけなく、ジャネット・イエレン新総裁などの講演録が掲載されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

18位  『若者を見殺しにする日本経済』 原田泰著

若者を見殺しにする日本経済 (ちくま新書)

若者を見殺しにする日本経済 (ちくま新書)

18位 『社会的選択理論への招待』坂井豊貴著

社会的選択理論への招待 : 投票と多数決の科学

社会的選択理論への招待 : 投票と多数決の科学