上念司『「アベノミクス亡国論」のウソ』

 これは面白い! メガワロタ。たぶん上念さんの最高傑作でしょう。身内ぼめの必要一切なし! 読めばわかるけど

1)実名をあげた「国家破産本」批判
2)心配性すぎて150年に一回の日本破綻が明日にでも起こると考えてる人への資産防衛術

という話題が、そもそも1)も2)にも共通する(まともな経済学や常識からの判断からすれば)ネタとしか思えない部分を、真剣な顔して論じていきます。その「真剣な風情」が面白い! ユーモアありすぎw

 何度も声出して笑った。その辛辣な批評と「おちょくり」感覚の裏には、きちんとした指摘がまんさいだ。特に心配性な人のための資産防衛術を読み進めていくと、いまの日本がいかに何重ものルールで破たん的な状況から守られていることがわかる。例えば本書では、ハイパーインフレが起こらない日本での条件として、議会民主主義、インフレターゲット、物価連動債(これの新規追加発行は急を要する)が提起されている。

 本書で批判の対象となっているのは、野口悠紀雄藤巻健史小幡績らだ。アベノミクスについての巧みな解説ももちろんついているし、小ネタで志人さんやスガダイローさんの名前まででてきて(もちろん好意的文脈で)微笑を誘う。

 リフレ派エンターティナーといえる一冊。面白すぎる。