日本を滅ぼすには日本銀行と財務省の超デフレを実現する政策協調が必要

 題名はもちろん皮肉だけど。

 さてちまたでは英国の経済雑誌『エコノミスト』が2050年の世界を予測した本が評判だ。日本目線でいうと、だいたいいま現在、世界経済の10分の一ほどの規模の経済が見る影もなく沈没して、ごく平凡な国に「衰退」することが予測されている。

 ではさらにすすんで、日本銀行財務省がひょっとしたらいままでと同じように、いやさらに協調して日本を衰退以上の状態、すなわち日本を滅ぼすにはどうすればいいのか。『エコノミスト』などを参考に試算してみよう。

 例えば、ゼロパーセント成長が38年間も続くとした場合の一人当たりの名目GDPは63175ドル。38年の長さもありえないとはいえない。だってすでに22年くらい平均して名目成長率ゼロパーセントが続いているのだからそんなに到達不可能な期間でもない。

 ただし人口が減った分(2050年にはだいたい9500万人)いまより一人当たりのGDPはやや上回っている。『エコノミスト』の2050年推計よりちょっと下だけど、ほぼ同じくらい。まあ、それだけ『エコノミスト』さんにも我が国はたかをくくられているわけ。これからもずっと名目成長率はゼロだって。ああ、やんなるね。ちなみに2050年にこの水準だと、ロシアと同じで、米国のだいたい7割程度になってる。

 ところでマイナス2%の名目成長率シナリオだと一人当たりは28471ドルで、いまのだいたい半分くらいに、2050年にはなっている。イェイ。エコノミストの2050年推計だと、そのときのインドネシアやフィリピンとほぼ同じグループ。いま現在の世界で例示すると、世界30位くらいのバーレーンと同じ経済プレゼンスだ(今現在の台湾や韓国よりは上)。

 これでもまだ滅ぶとまではいかないだろう。滅ぶだいたいの水準をおおざっぱに300万円の年収がある人が3万円ぐらいになった経済ではどうか? いまの北朝鮮のだいたい半分以下だと思う。これだとどうも2050年までには間に合わない感じ。デフレ率が二桁の超デフレが必要だ。

 何で日本はなかなか滅びないのだろうか? 1)GDPがすでに大きな水準にあること。これは先行する世代といま頑張ってる人たちに感謝するべきことだ。2)人口減少のスピードがそこそこ速いこと、3)超デフレを回避するための経済的な自動安定化機能があること、などだ。

 だから世界経済危機となにもしない日本銀行の組み合わせでも、やっとマイナス1%を上回るデフレ率が達成できた程度だった。

 「日本を滅ぼす」にはどうすればいいか? 財務省はともかく消費税をどんどんあげていく。いまの社会保障の負担をすべて消費税などでまかなえば、所得の8割は税金で消えるというシナリオもある。稼働可能な若い世代を働かせない(長期失業に塩漬け)、自動安定化機能である失業保険や生活保護を「ナマポ」とか批判して廃止する、日本銀行はひたすらマネタリベースを前年比マイナス10%を超えるくらいで半世紀くらい根気よく継続していく。常に「人口減少でデフレが起きる」とか「(デフレをずっと続けながら)インフレ率0%到達は近い将来」と半世紀ぐらい言い続ける日銀総裁も必要。それくらいの努力をすれば今世紀のどこかで日本は滅ぶだろう。これは極端だけど、税負担も日銀のスタンスもわりとありがちかもしれないね。

おおざっぱな感じなのでミスはお許しあれ。

2050年の世界―英『エコノミスト』誌は予測する

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