川村純彦『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力』

 門外漢なので本書がどんな評価をうけてるのかわからないが、南シナ海東シナ海含めた海上での中国の軍事行動や偽装漁民を利用した実効支配戦術など生々しい記述が続く。

 恣意的な排他的経済水域の解釈(簡単にいうと本当に軍事力で排他してくる)などを読むと、中国は、周辺諸国と紛争を起こすメリットを抱いている国家である、という印象だ。中国の行動を攻撃一本やりの単線的なもの、交渉することさえ通用しない「敵」という認識が本書のベースにある。

 中国海軍と日本の自衛隊の軍備の比較はとりわけ興味深いものになっている。米軍の核の抑止力の無化を目指す南シナ海の聖域化戦略、「A2AD」(接近阻止、領域拒否)戦略など中国の戦略がより現実的なものになっている、と本書は指摘する。

 説得的に感じたのは、もっと現場の実情に即した、自衛隊の「ポジティブ・リスト」(これだけをすべきリスト)ではなく、「ネガティブ・リスト」(これだけはするなリスト)への法令(交戦規定など)の見直しが急務であるとの指摘だ。