青木裕子『アダム・ファーガスンの国家と市民社会』

 青木裕子さんから頂戴しました。ありがとうございます。

 18世紀のスコットランドで、「市民社会」と「国家」の関係を考察したアダム・ファーガスン。日本では戦後まもなく大道安次郎氏が代表作の『市民社会史』を訳した以外では、このアダム・スミスの同時代人にして、また偉大な思想家の全貌はほとんど日本では(専門家以外では)知られていないといっていいでしょう。

 しかし本書でも触れられていますが、最近のグローバル化の進展で、以前よりも社会的な紐帯としての「市民社会」概念の見直しが盛んになってきたのを背景に、その市民社会論の建設者のひとりとしてのファーガスンへの注目も高まってきたようです。

 本書はそのためのいい入門書、また先にすすんだ応用の書としての役割もかねていると思います。