最初と最後だけお返事

最初からがくときました。
http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20100531/p1

一度たりとも、「『言論統制』への批判がこの本の中核である」と書いた覚えはないのですし、あの「まとめ」を書籍全体のまとめなり要約なりであると書いた覚えもないのですが・・・。で、不適切とのご指摘は、仮にwebmasterがあれを全体のまとめだといった類の記述をしていたとして、あれをもって全体のまとめだとした点、いわば対象のずれについてのものであって、「数頁」のまとめとしては概ね妥当だとの理解でよろしいのでしょうか? そうであれば、前回のエントリでの議論は、その枠組みにおいて問題ないものと理解するのですが。

そうですか? 以下の文章を読めば、誰でもbewaadの「まとめ」は「書籍全体のまとめなり要約なりである」と解釈するのが普通でしょう。注意深いあなたですから、もし一部分の要約ならばそう注記したはずですよね?

田中先生の本書でのご主張をwebmasterなりにまとめるなら、次のようなものとなります。

まともな経済学から現下の日本経済の処方箋を導き出すならば、それはリフレ政策であるはずで、にもかかわらず日銀は誤った「日銀理論」に固執しリフレ政策を採用していない。
そのような日銀への批判が少ないのは、日銀による言論統制ゆえである。
日銀のガバナンスを改めることができれば、そうした日銀の姿勢は正され、日本でもリフレ政策が実現されるはずである。

上の文章があなたがそもそも僕の本について書いた「まとめ」のすべてです。あとはロゴフの話題のみ。今回はあなたは明白な虚偽をついていると思いますけどね?

あとの僕の発言の引用は正直、何がいいたいのかほとんどわかりませんでした。

で、生産性のありそうな、ロゴフにいきましょうか。

一方でなぜか田中先生がwebmasterの引用から読み落とされているのが、ロゴフがそうしたデフレ脱却を課題と認めつつも、最大の課題は将来のインフレ予防だとし、日銀が各国(の主に中央銀行でしょう、明示はされてませんが)から教えを受ける立場だと、今の日銀を肯定的に評価していることです。デフレ脱却できないことは問題ではあるが、それはあくまで小さな瑕に過ぎず、概ね日銀のやっていることは妥当だという以外に、ロゴフの意図をどう解釈できるのでしょうか?

重ねて書きますが、ロゴフは日銀をいま肯定的に評価しているということですが、それは政策を評価しているわけではなく、単に過去の経験(ロゴフによれば失敗の経験……日銀はインフレ懸念してデフレ政策をとり失敗したとロゴフがいっています)を各国中銀は聞きにくるだけですね。

しかも文言からいえば具体的に何を聞きにくるのかも実ははっきりしない。簡単にいえばリップサービス程度のことです。bewaadの重視するロゴフの発言を引きましょう。この引用文を引用文1としましょう。

引用文1

―日銀はインフレターゲットを採用すべきか。

ロゴフ教授 長い間、その是非を考えてきた。標準的なインフレターゲットを採用している中央銀行に日銀がならなくてもよい理由は見つからない。しかし、そうしたターゲットを持つ中央銀行であっても、金融危機には直面した。グリーンスパン氏が率いた米連邦準備制度理事会(FRB)がそうだったし、イングランド銀行(英中央銀行)でも同じことが起きた。
従って、日銀は今までの狭い考え方の枠組みにとらわれず、新しい考え方を追求し、より融通の利くアイデアを採用すればよいのではないか。そうすれば、資産価格の高騰や借り入れレバレッジの膨張で再び金融危機に陥る事態を回避できる。
長い目で見ると日銀は今、世界の中央銀行で最も良い立場にいる。これまではいろいろな人が来て説教を受ける立場だったが、今や突如としていろいろな国からどういう対策を講じるべきなのかについて、アドバイスを求められている。

この上記の発言から、bewaadはなぜか、次の発言をします。これを引用文2とします

少なくともwebmasterは、デフレ脱却よりもインフレ予防を重視し、FRBBOEより日銀を高く評価する論者=ロゴフを、リフレ政策支持者とは認められないと考えています。

ロゴフの引用文1には、ロゴフが「デフレ脱却よりもインフレ予防を重視し」ということが僕にはまったく読み取れません。前も書きましたがインフレ目標+金融規制の話であり、しかもそれ自体を日銀が採用しているだなどとロゴフはひとこともいっていません。

また「FRBBOEより日銀を高く評価する」とありますが、それは「デフレ脱却よりもインフレ予防を重視し」たから高く評価されているのではありません。引用文1にあるのは「長い目で見ると日銀は今、世界の中央銀行で最も良い立場にいる」とあるだけでいかなる具体的な「アドバイス」なのか、そんな内容は少しもかかれていません。

また「。デフレ脱却できないことは問題ではあるが、それはあくまで小さな瑕に過ぎず、概ね日銀のやっていることは妥当だ」という内容を引用文1から読み取ることはまったく不可能です

もしロゴフを「デフレ脱却よりもインフレ予防を重視し、FRBBOEより日銀を高く評価する論者」としたいのならば、それはbewaadの本心をそのまま描いたものでしょう。

あなた自身がすでにリフレ政策支持者ではないのです。

以上です。

デフレ不況 日本銀行の大罪

デフレ不況 日本銀行の大罪