ポール・コリアー『民主主義がアフリカ経済を殺す』

 頂戴してからちょっと時間が経過してしまいました。ありがとうございます。山形浩生さんがビジスタニュースで批評されていますので詳しくはそちらをご覧いただいたほうがいいかと思います。意外と読むのに時間がかかってしまいました。僕が面白いかな、と思ったのはクーデターの個所とジンバブエの記述です。後者はハイパーインフレになる過程がよくわかりました。

 クーデターについてはやはり日本の戦前の経験と重なりましたね。利己的な政府(利己的な独裁者でももちろんいいですが)の下では、クーデターが連鎖しやすいという命題、さらに利己的な政府・独裁者はクーデターの抑止のために軍事費拡大を手段としてつかうかもしれないなど。これは二・二六事件前はクーデターが頻発したのですが、それ以降、馬場財政(軍事費膨張)になってからはクーデターの連鎖は終焉したことなどを想起しました。

 あと日本が敗戦した直後、占領軍が本格的に進駐するまでにクーデターがなぜ頻発しなかったのか(もちろん『日本のいちばん長い日』みたいな事件は知ってますが)、なぜ占領そのものはわりと安定的に行われたのか、それは日本人があきらめやすいから、とか物分かりがいいとか、教養があるからとか、そういう要因ではなく、本書に記述されているような、クーデター回避のゲーム分析が使えるのではないか、などと勝手な妄想をたくましくしました。

民主主義がアフリカ経済を殺す

民主主義がアフリカ経済を殺す