ポスト麻生の経済政策を吟味する

 メルマガ「週刊ビジスタニュース」のバックナンバーサイトに掲載されております。ご参考ください。

 http://www.sbcr.jp/bisista/mail/art.asp?newsid=3358

(補遺)この論説については、(編集の方に教えていただいたのですが)ネットではJD-1976さんから感想をいただきました。趣旨をくんでいただいたようで本当にありがとうございます。


 あと個人的にですが、「ヘリコプター国債」の件でご意見をいただいております。この「ヘリコプター国債」という手法については、実はすでにバーナンキが『日本の金融危機』(東洋経済新報社)に収録されている「自ら機能麻痺に陥った日本の金融政策」の中で批判してまして、そのロジックに即して書いたわけです。いただいたご意見では、確かに資産格差を維持ないし悪化してしまう可能性がある、また設計がむずかしいのも事実、しかし現状で最も実現性が高い(言い出した人たちのインセンティヴに即している)から、資産格差やその他の技術的な課題を別途処理する形でどうにか前向きに考えた方がよくはないか? というご意見でした。バーナンキや僕の批判は国債の満期に注目することでそこでバロー・リカード命題が成立する、ということでした。これを回避するためには国債の満期を非常に長くとるあるいは満期時に別な(事実上の)減税手段と組み合わせる、などが考えられます。また資産格差の点については、この国債ファイナンスされた資金を、例えば若い世代に役立つ投資に使うことー典型的には公教育への投資、奨学金の拡充、インフラの整備などを積極的に行うことなどが考えられるでしょう。まあ、論説の方にも書きましたが、実際にどのような設計になるのかわかりませんが、やるからには総需要喚起と同時に経済的な格差を極力もたらさない形での設計が重要になるでしょう。今後とも注目してきたい政策手法であります(読売新聞読まんと 笑)