増田悦佐の勝利:映画『ウオッチメン』感想


 映画『ウオッチメン』を近所のシネコンで朝一で見る。原作もそうだったけれどもやはりマニアだけが喜ぶコネタと、それに反して「いったい何がこのウオッチマンのテーマなのか? アメコミヒーローの正義? しかしそもそも正義は重要だが、アメコミヒーローの正義はただ陳腐なテーマじゃないのか?」という原作を読んだときの感想がそのまま映画にもあてはまった。

 
 しかも映画館で見る映画は途中で中断できないのがいたい。原作を読んでたためかやたらに飽きる。たぶん原作を読まずに、最初にこの映画をみた人は、いったい何をこの映画はいいたくて(たぶんいいたいことがあるんだろう、それがアメコミヒーローの正義 笑)、何が物語を支える謎なのか、まったくわからないんじゃないのかな? 


 これは自己満足が露出したただの失敗作。原作の大蛸を排除したのだけはいいし、その部分のシナリオ改変は原作の欠陥を補っているが、それ以上に原作との比較なんかする趣味のない僕が、この映画の退屈さにむしろ驚いた。原作を読んでから映画見ろって? それこそ本当に一部のマニアの思い上がり。この原作の評価もそんな思い上がりで支えられている。

 増田さんの『日本型ヒーローが世界を救う!』でのアメコミ批判が、この作品こそバットマンスパイダーマンよりも当てはまるというのも面白いかもしれない。


 退屈か、あるいは何をやりたいのかわからない映画が好きな人はどうぞ。映像は『ドラゴンボール』より比較ならないほどいい。


(追記)あと下の再翻訳の件だけど、岡田斗司夫がアメコミの最高傑作みたいな賛辞を帯に書いているのを映画館の売店で陳列してある現物をちら見した。しかし平均よりはちょっといいにせよ、全体的に古くさい。ましてや映画版では修正されてたあの大蛸がでてくるし 笑 そして主要テーマが何度もいうけど陳腐な「アメコミヒーロー」の正義。よほど暇人でもないかぎり読む必要はないでしょう。ましてや「最高傑作」という賛辞はどう考えてもいいすぎ。