日本銀行は国債の“直接”引き受けをするべき

 無思考的に、法律で禁じられているからダメ、ということらしいが、以下の高橋洋一論説を参考に読んでも直接だろうが市中から買いオペしようが、その実体はほとんど変わらない。禁止する意味が乏しい。また無思考的に、“直接”にすると財政規律や日銀の信認が低下するという話をするむきがあるが、何をいいたいのだろうか?


 実体で違いがないことをしているのだが*1、それでいままで財政規律や日銀の信認が失われただろうか? つまりインフレが加速化しただろうか? もし本当にこれらの問題が心配だとすれば、インフレ目標の導入、そして政府と日銀のアコードの締結(政府への財政規律と日銀のバランスシート毀損の回避をそれぞれ担保にして、現時点での総需要緩和政策を行うこと)で対応すればいいのではないだろうか?


 要するに、戦前に日本銀行が“直接”に行ったため、戦争経済になったとか、戦後のハイパーインフレにつながったとか、その種の実証的な根拠に乏しいことを、鵜呑みにしている人が多いのだろう。馬鹿げた話である。要するに官僚や日銀の前例主義踏襲という官僚的なマインドに騙されているだけなのである。またはリスクがまったくない政策を追求して、小賢しくなにもしないまま、終末を待つニヒリズムにも似ている。


 歴史的な教訓を本当にくみとすれば、高橋是清財政での昭和恐慌脱出は、まさに日本銀行国債の直接引き受けによって実現されたということであり、その教訓をいまこそストレートに実現すべきである。

*1:理論的に細かいことをいえば違いはあるがいまはそれにこだわらない