『ユーロマンガ』二号とエンキ・ビラル

 異能のBD(フランスマンガ)の作家として日本でも知られる、エンキ・ビラルの新作『アニマルズ』が出た。最近、エンキ・ビラルの翻訳のある作品(『モンスターの眠り』、ニコ・ポル三部作)をまとめて読んだので、この新作の発売は嬉しい。いまもソ連邦の裏側を暗喩で描いたといわれる『狩猟』が届くのを待っているが、この『アニマルズ』も速攻で読んでみたい作品である。ユーロマンガのホームページhttp://www.euromanga.jp/news/404に作品の内容の紹介があるが、近未来のディストピアものみたいであり、期待が高まる。僕が彼の作品を読んでまっさきにイメージしたのが、バラードの初期の作品群であり、その意味でも今回の「水なき世界」の話は面白そうだ。ただひとつのハードルは、彼の作品のフランス語のレベルがかなり高そうで、僕のような初等クラスには結構つらいかもしれないことだけど 笑。ただマンガのいいところは、絵が雄弁に物語の大半を語っているところであり、昔、読めない漢字を適当にあてて『ガロ』を読んでいた小学校1年生のころを思い出す。


 さて第三号以下もどんどん出してもらいたいので、応援の意味で、ここで再び『ユーロマンガ』第二号の宣伝をしたいと思う。明日、全国で発売になるからだ。


 日本のマンガをいくら読んでも同じ世界観をぐるぐるまわるだけで少しも面白くないと思う。もしあなたが、日本のマンガの世界観はそんなに飽きてしまうほど単調ではない、と思うならばすでに十分、日本マンガの罠に嵌っている。僕は増田さんの本の書評を契機にして、アメリカンコミックの世界に足をいれ、そしていまはフランスマンガの世界を覗こうとしている。マンガとはいえ、異なる文化圏を知ることで、いままでのぐるぐるめぐりの生活を相対的にみることができるだけでも、世界のマンガを読むことは大きい意義があるんじゃないだろうか?

ユーロマンガ2号

ユーロマンガ2号