国際リフレ競争第二ラウンドへ

バーナンキ、本気だな(econ2009さん経由)。
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35252520081204?feedType=RSS&feedName=topNews

 中国も本気だな(日経の記事よりも梶ピエールさんのコメント参照)
 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20081204/p1

 ECBもロンドンも本気だな
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35261320081204
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35263020081204

 で、日本は?

 (問) 一部報道によりますと、FRBバーナンキ議長が、利下げから更に
踏み込んで量的緩和も辞せずといったことを示唆する発言をしたと報じられ
ています。前回の決定会合からあまり時間が経っていませんが、改めて現下の
金融経済情勢についてどのような認識を持っていらっしゃるのでしょうか。そ
して、追加利下げあるいは量的緩和を含めた金利政策の必要性について、現時
点での見解を改めてお聞かせ下さい。
(答) 前回11 月20 日・21 日の決定会合では、わが国の景気は、既往のエネ
ルギー・原材料価格高の影響や輸出の減少などから停滞色が強まっており、当
面、こうした状態が続く可能性が高いと判断しました。その後、生産、雇用、
個人消費などの経済指標が公表されましたが、いずれの指標も厳しい内容で
あったと思います。また、今月15 日には12 月短観の結果が公表されます。こ
れらの経済指標や企業からのヒアリング情報、金融資本市場の動向などを踏ま
えて、12 月18 日・19 日の決定会合では、景気の現状と先行きの見通しについ
て丹念に点検したいと思っています。
先行きの金融政策については、前回この場でも申し上げましたが、金融
経済情勢が一段と悪化した場合に中央銀行としてどのような対応をとり得る
かについて、常に幅広く検討を行っております。追加利下げに関して言えば、
極めて低い金利水準のもとでは、短期金融市場の円滑な機能確保という観点か
ら、様々な問題が生じる可能性があることには留意が必要であると申し上げて
きました
。その上で、これもいつも申し上げていることですが、先行き具体的
にどのような政策対応を行っていくかについては、その時々の経済・物価情勢
や金融市場動向を踏まえて、適切に判断していくという方針に変わりはありま
せん。

 ゼロ金利量的緩和という01年から05年までの経緯はたぶん今回は踏まないでしょうね(引用の赤字参照)。日本銀行の行動は日本経済の円滑な機能確保よりも短期金融市場の彼らからみた「円滑な機能確保」だから。すでに先月あたりから噂されるのは、年末に利下げして0.15%へ。そしてこれが事実上の日本のゼロ金利だと(いろんなところで宣伝)する方向がまずひとつ考えられるでしょうね。準備への付利は上記の「円滑な機能確保」のため存続。ほかにもいろんな手法が考えられるし(今回のスキームの拡大など)、各国がこれから猛烈な勢いでリフレ競争を展開していくなかで、確実に日本銀行は短期金融市場の「円滑な機能」というものにこだわって乗り遅れ必至でしょうか。そうなると株価や為替レートの不安定は避けられず、さらにいえば雇用に深刻な影響を及ぼすでしょう。

 (上の記述とは直接関係ない雑感)日本の社会学者や思想家やネット論者の多くは、若者の雇用を云々するならば、この日本銀行の各国比較でみたときの異常さ(短期金融市場命=短資会社の既得権命で、国民経済人質)こそ批判すべきなのに、どっか明後日の方向みて、自分達の人気稼業にせいだしてるだけにしか思えないんだけども。それとも本気で大衆運動や党派的な政治行動で景気がよくなるとでも? そんな阿呆な日本の「知識人」たちの行動とは無縁に国際リフレ競争は冷厳に続き、その敗者(たぶん日本)には厳しい現実が待っているでしょう。いまの「知識人」に必要なのは、(日本風ではない)よくあるマクロ経済学の教科書の知識を愚直に状況にあてはめるだけ。そこには彼らの追い求める独自の「知識」は余分なので「知識人」の価値は暴落するかもしれませんが。資産価値や実体経済の下落よりも日本の社会学者や思想家やネット論者の価値下落こそいまの日本では望ましい。

 しかし短期金融市場のプレイヤーの既得権益を守る日本銀行と、「ロスジェネ」論壇を中心とする日本の社会学者や思想家やネット論者たちの事実上の「同盟」というのは非常に興味深い。まさに金融ー思想マフィアといっていいのかも。ロス・ジェネ論壇で日本銀行の失敗について指摘している論者は皆無に近い。ここらへんの脈絡は追うべき価値がありそう。この「同盟」の鍵はもちろん「知識人」なのにマネタリーな知識の欠如=無知にあるわけだけど、認めんよね、そういう事実は彼らの立場に矛盾するから。

 ここらへんの不況によって生まれる社会的権威側の既得権者たち(日本銀行と短期金融市場の主プレイヤー)と、失業者(の代弁者である上記の『知識人」たち)との同盟関係については以下の本などが実に深い分析をしている。

セイヴィング キャピタリズム

セイヴィング キャピタリズム