早川いくを『取るに足らない事件』


 献本いただきました。どうもありがとうございます。この本は昭和20年代という占領下で、いまだ混乱にあった日本の当時も取るに足らない事件を再発掘し、いまでもやはり取るに足らない事件であったことを紹介するという稀有な本です。しかもこれを読むと戦後日本の状況が取るに足らない形でなんとなくわかるという歴史の副読本としても格好の教材です。イラストも力作であり、その綿密な取るに足らない事件の蒐集範囲でも傑出しています。「地下道坊や」「殺人光線」「万引機械化」「ノド自慢強盗」「無銭飲食株式会社」「幼稚な宝くじ偽造」「ワラ人形に呪いの釘 忍びの名人捕まる」などなど、一読それ以上発展のしようがない事件の数々に読者は脱力してしまうだろう。


取るに足らない事件

取るに足らない事件