山形浩生論説からアクティビティMの経済学


 昨日ネット配信された『週刊ビジスタニュース』の山形浩生「山形月報!』をぼーっと読んでの感想をまとめる。


 山形さん曰く、

川上宗薫といっても、いまの若い人は知らないだろう。
その昔(というのは、ぼくが中学生の頃だから30年前だ)、官能小説の
大家の一人で、宇能鴻一郎や富島健夫とならんで、スポーツ新聞のアダ
ルト欄にはだいたいこの人の小説の連載があった。当時はまだアダルト
ビデオなんてものはなく、ヘアヌードすら解禁されていなかった時代。
ぼくを含むガキどもは、この人の小説を立ち読みしてチンコをたぎらせて
いたものだ。:

 この「陳子をたぎらせていた」が何を意味するのか経済学的な定義がはっきりしないので仮にアクティビティMとしておこう。ここではベットで行う活動ではなく、「ガキども」が「立ち読み」しているときの活動であることが重要だ。


 さてこれを読んだのが昨日の深夜なので、頭はぼ〜っとしていたので次のリンク先を読んでカロリー消費量が



http://muuum.com/calorie/1037.html
70(体重) x 0.0464 x 20(分) = 65(kcal)

http://muuum.com/calorie/1036.html
歩行   70(体重) x 0.0534 x 45(分) x 30% = 50(kcal)
早歩き  70(体重) x 0.1083 x 45(分) x 30% = 102(kcal)
ジョギング70(体重) x 0.1561 x 45(分) x 30% = 147(kcal)
疾走   70(体重) x 0.2588 x 45(分) x 10% = 82(kcal)
総計=381(kcal)


という算式からほぼ1:6の比率だということを知りぼ〜っとした脳裏に一応叩き込んだ。なるへそ。


 さて最初のアクティビティMの話に戻ろう。この活動を経済学的に分析する枠組みとしては、やはりエル・ホディリの定理が有効だろう。数学者のエル・ホディリは感受性豊かな(山形さんのような)人物がベットですごす時間を簡単な効用最大化モデルで計算したところ、それは普遍的に一日当たり8時間であると証明した。


 このエル・ホディリの定理をさらに修正したのが、かの国際ジャーナルThe Journal of Political Economyに掲載されたT. C. Bergstromによる珠玉の論文Toward a Deeper Economics of Sleeping である。


 彼はエル・ホディリの定理を修正することで画期的なことを発見した。それは単に人間はベットの中で睡眠をとっているだけではなかったのである! この睡眠以外に人間がベットの中でもごもご活動している「何か」を彼はアクティビティXと名付けたのである。このアクティビティXを加えるとエル・ホディリが算出したベット滞在時間は8時間からなんと9.231時間にまで延長されたのである。


 この研究はさらに続き、この謎のアクティビティXはどうやらベットでパートナーと共に行う活動の一種であることが判明した。しかしそれ以後、この興味深い人類最大の謎は解明されないままであった。


 バーグストロームの修正されたエル・ホディリの定理のための算式をみながら、私はこのアクティビティXと山形アクティビティMには非常に密接な関係があるのではないか、という仮説に到達した。以下はバーグストロームの算式を私がアクティビティMを加味して修正した山形陳子算式である(導出については上記バーグストローム論文参照)。


 効用が最大化されるのは以下の条件を満たすときである:

 y=1/3[1+(R/W)−M]


 yは一日のうちベットですごす時間の24時間に占める比率、1/3はエル・ホディリ常数といわれるものである。Rは非労働資源を活用することによって得られる日給である。Wは日給であり一日あたりの消費と等しい。MはアクティビティMの項である。バーグストロームによればこの非労働資源とは「(体は?)資本」のことであり、R/Wはいわば資本と労働との取り分の比率を示していて、それはバーグストロームによれば歴史的に1/4に収束する値である。

 ところでアクティビティMのかかる項はマイナスであり、これはアクティビティMが一種の「搾取」項として機能していることを示している。これはアクティビティMが非生産的消費であり、また他方でベット外活動であることを暗に示唆している。いまこの−Mは信頼できる実証結果からマイナス1/6であることが判明している、という。


 よって山形陳子算式は
 
 y=13/36≒0.361

 であり、一日の活動が仮定から消費=所得、ベット活動、陳子たぎらせ活動から成立しているとすると、

 0.361×24=8.664(時間)


 ということになる。これはバーグストロームらの国際ジャーナル級の発見に比べてきわめて重要な含意をもたらしている。アクティビティMを考慮するとなんとベットでの総活動時間は0.567時間も減少してしまうのである。エル・ホディリ定理から睡眠時間自体は8時間と不変なので、これはアクティビティMの貢献によって、パートナーとベットで行う謎の行為アクティビティXが約4割も減少してしまうことになるのだ。


 実際にネット掲示板でしばしば中傷されるように私は一介の素浪人、いや経済思想史家であり、この重要な発見の前にひたすら動揺を隠せない。私はこの真理を十分に把握できたといるのか正直心もとない。だが私は山形論説が他のもろもろの点でもそうだがあいかわらず鋭いヒントをこのアクティビティXをめぐる話に与えていると思う。ひょっとしたらこの「陳子をたぎらせる」アクティビティMとアクティビティXの関係を一段と考察することが、日本のオタク=動物化問題や少子化問題、さらにはこの10数年の構造問題の解明にさえも画期的な貢献を与えるのかもしれない。陳子をたぎらせればたぎらせるほど吾々の文明は危機に瀕するのではないか?少なくともパートナー間の危機にはなりはしまいか? いや、それは古代以来の迷信の繰り返しなのでは? しかしすべてはこれからの解明に委ねられている。


(追伸)なお私は川上よりも梶山(『ぴらめんねぇ』や『美男奴隷』など)の方を支持する


(付記)なおT. C. BergstromのToward a Deeper Economics of Sleeping は以下の本に収録されている。

On the Third Hand: Humor in the Dismal Science, an Anthology

On the Third Hand: Humor in the Dismal Science, an Anthology