取材メモ&河野龍太郎『週刊東洋経済』論説&嶋中論説


 今日、大学にいたら某誌からサブプライム関連の取材。日本経済へのサブプライム問題の影響は限定的という多数意見。ただ日本経済のスピードが高速道を40キロで走っているとして、アメリカや他国が100キロ。同じブレーキ圧(サブプライムショック)をかけると前者はとまるほどの減速だが、後者は70~80キロほどではないか、とコメント。それが典型的に現われているのが日本の株式市場の低迷で、アメリカの株式市場はショックをうけても立ち直るが、日本の方はするずる低落傾向。日本の金融当局はいまだに金利上げを狙っているのに対して、アメリカは金利下げを実施。この当局の政策スタンスの違いが資産市場(株、国債、為替など)に影響を与えている、といった感じでコメント。


 今週の『週刊東洋経済』の経済を見る眼のコーナーでも河野龍太郎氏は日銀の第二の柱(資産市場の歪みを中長期的に警戒するスタンス、わかりやすくいえばバブル警戒)を前提にしている漸進主義(金利の漸次切り上げ)は市場で理解されがたくなっている、と指摘していること、この資産市場の近時の不安定傾向を重視してのものである。


 econ-economeさんのところでも紹介されている嶋中論説は一時的な利下げを現時点で主張してさえもいる。


 しかし河野、嶋中両氏のように田中の視点からは中間的な立場の人たちが、日銀政策の見直しにふれはじめたここ数週間の「反動」として、おそらく来週以降から、生活実感を伴ったインフレ警戒論を背景に金利上げモードを支持する論説がでてきはじめ(それは必然的にサブプライム問題の限定的な影響を強調するだろう)るだろう。すでに日銀の「非専門家出身」の政策委員は生活実感を強調している。このような生活実感を強調する日銀委員は端的にいって委員を自ら辞すべきであろう(プロ以外が委員にいるべきではないので)。


 ところでバブル崩壊後の日銀の金融政策も公定歩合を漸進主義的に引き下げていって、それが不十分な緩和となってやがてゼロ金利に突き当たったことは記憶に新しいのだが。