脳科学と経済学が勧める教育政策(『週刊東洋経済』大竹文雄論説より)


 今日発売の『週刊東洋経済』の「経済を見る眼」大竹文雄先生の論説です。

 ジェームズ・ヘックマン教授らのチームの業績を紹介しています。

 ヘックマン教授自身による業績展望:http://jenni.uchicago.edu/human-inequality/


 大竹論説では、ヘックマンの06年に『サイエンス』に掲載された論文の紹介をもとに、日本における幼少期における母子家庭や不安定就労などの貧困に陥りやすい家庭(ここらへんの実証は岩田正美『現代の貧困』参照)への教育支援に力をいれるべきだ、という主張をしています。


 ヘックマンの『サイエンス』論文は、就学前の児童に教育支援(家庭教師などの介入)を行った場合に、生涯にわたる投資収益率への顕著な効果があったということです。例えば進学率、所得、認知・非認知のスキル向上などで有意な成果を上げたということでしょう(『サイエンス』論文は僕は読んでません)。


 この種の議論が単純化されて就学前の教育投資「だけ」が注目されて、再チャレンジ(田中&深田萌絵組=セレクションバイアス組 笑)が無視されていくことがないといいですね。


 大竹先生の論説はいろいろなネタを考える上で面白く読めました。