経済財政諮問会議自体が小泉政権終末期から形骸化してしまい、誰も真剣に「骨太なんとか07」*1を論評もしなくなった昨今、与謝野官房長官が経済財政諮問会議への敵意丸出し(笑)で、税制・財政は財務省主導に切り替えると明言したらしいですが(http://www.asahi.com/politics/update/0830/TKY200708300140.html)。
もともとは「骨太なんとか07」でも19年度秋以降に税制の抜本的改革を行うと明言してましたが*2、諮問会議の最終処理まで織り込むということは、やはり与謝野氏を起用したことが、安倍政権の基本的性格を「財政タカ派」よりに決定的なものにしたとみるのが妥当なのかもしれません。
いま読んでいるんですが、清水真人氏の『経済財政戦記』(ゲゲゲの鬼太郎の『死神大戦記』の次に読んでるのがこれw)の本の最後のくだりを引用しますと、
「(安倍首相の)就任直後の所信表明演説では「推進」としか言わなかった税制改革の実現時期のメドを初めて(1月26日の施政方針演説で)表明した。07年度与党税制改正大綱とそっくりの言い回し。「増税なき財政再建」には微妙な距離を置き、むしろ「財政タカ派」の自民党税調との折り合いを探る姿勢もにじんだ。参院選までは中川秀直らが先導した消費税封印と成長重視の路線で走るが、秋以降は税制改革に本腰で取り組む。参院選後に唐突だと批判を受けないよう、税制改革の土俵だけは示しておく。そんな二枚腰の構えとも見えた」(412頁)。
というわけで上げ潮派は退場したので、「二枚腰」が一枚になって“ふつう”になったってことでしょう。
それと額賀財務大臣の次期日銀総裁での武藤副総裁擁護もあまりに明らさまなのでどこまで本気かわかりませんが(笑)、これも財務省主導路線が成った安堵感からでた本音ととるべきなんですかね?
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ほかに上杉隆氏の『官邸崩壊』も読みました。経済ネタはほとんど皆無ですが、人間関係やその間の情念みたいなものの描写をしている本でしょうか。安倍首相の塩崎氏、中川氏との感情的な乖離がよく時間の推移とともに書けていて、他に「精神安定剤」としての麻生氏の役割がわかります。
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清水氏の本や上杉氏の本を読んでの印象はやはり特異な政権だった小泉政権の後で、なにをするべきかで精神不安に陥った安倍(首相)政権が、従来の手法(いわゆる官邸主導から個々の政治家中心=表裏なる官庁との連携へ)に重心を移して「精神安定」を得ている真っ最中なんだな、というのが素朴な感想です。
(補)もっとも前にも書いたように、「財政タカ派」主導になっても消費税増税が選択肢で可能かどうかは別問題で、事実上、当面の間は先送りでしょうね。
*1:パンフレットをどうぞhttp://www.keizai-shimon.go.jp/explain/pamphlet/basic_policies_2007.pdf
*2:なんの確証もなく書くけど、たぶんこの税制改革の本格討議と並行して日銀法改正もでてきた可能性が大きかったのでは? いまは望みなしですが