リフレ政策はどうなるのか?


 パソコンにアクセスできずに昨日書いたエントリーを先に。

 与党の歴史的大敗で、個人的に注目しているのは日銀の政治待ちの状況にどう変化があるか、ですが。もちろん公式に、選挙結果を待って政策運営しているなんて口が裂けてもいわないでしょうが、事実上は与党大敗は織り込み済みでしょう。しかし既定の敗北路線をさらに上回る大敗プラス安部首相が政権を歴史的大敗でも放り出さない(=世論の猛反発が今後短期的に予想される)ことは、誰しも予想外でしょう。


 中川幹事長も辞任するでしょうから、政権の中のごく少数の「権力」サークルからリフレ政策について口先だけで日銀に圧力をかけていた人たちがいなくなるわけです。前にも書きましたが、安部政権のリフレ政策は口先介入=日銀悪口大会以外は、ほとんどゼロに等しかったと思います。


 例えば諮問会議でも、日銀がいつの間にか堂々と公言しはじめたいわゆる「第二の柱」(金融政策を資産価格の安定に割り当てるなど)と、政府のデフレ脱却と名目成長率政策との関連は真剣に議論されなかったことにも、安部政権のリフレ政策の採用がどの程度まで真剣であったのか疑わしい。もちろん幹事長の発言は発言(ネタ)としては頼もしかったのですが。


 諮問会議で真剣に討議されず、また諮問会議で調整できないほど日銀の独立性が尊重されるならばあとは日銀法改正だけなのに、それに関して政治的タイムスケジュールにはなかった、ことを考えると、実際に暗澹とした気分にいつもなっていました。その主因は、上げ潮派ともなに派でもいいんですが、ごく少数(たぶん4,5名)の「権力者」サークルの人たちが自分たちの「権力」の地位に溺れてしまい、特定政治利益に結びつかない金融政策の制度的改革にむかうインセンティブを著しく欠けていた、その政治的緊張感の欠如にあるのでしょう。それは安部氏がまた政権にとどまり、(政治の玄人の見立てにありますが)むしろ風がおさまるのを待ち、民主党の自壊をむしろ待つ、という、本当にごく少数の人間しか理解できない(したがって今後も世論の批判を受け続ける)戦略をとったことにも現れている気がします。ヒッキー政権だよなあ、言葉悪いけど(10年前なら密室とも談合ともいわれたけど、最近は首相政治、とかきれいな修辞になる)。


 で、先に簡単に日銀の利上げ路線は、政治的圧力がゼロになったことで、金利上げに弾みがつくよりも、想定できるのは、「これで改革を後退させてはいけない」などと政権与党のようなことを総裁がいいだして(苦笑)、実際には米国サブプライムローン問題の動向を見据え=国内株式市場の動向などをみて利上げのタイミングをはかり、1%台まで総裁退陣の時期までできるだけすみやかに達成していこうとするのではないでしょうか?