日銀の国債引き受けの国会議決への助走

 まぶちすみおの「不易塾」日記
 決戦場より

 http://mabuti-sumio.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-dd62.html

 民主党の経済対策も、「家計中心」、「無駄遣い排除による財
源確保」、「恒久的」の三点が政府案と違うところだとの訴え
は悪くはないが、肝心なところが欠けている。
財政政策と金融政策の総動員、ポリシーミクスの観点。

政府の国債発行を批判するのは、野党の立場を考えればまぁギ
リギリ了とするとしても、だからと言って一切の財政政策・金
融政策に触れない経済対策ってのは実体経済を触っている人た
ちから見れば何とも「頼りなさげ」に映る。

政府紙幣発行について例の一件で一気に沈静化しているだろう
から、今こそ日銀による国債の大胆購入を進める政策を民主党
は打ち出すべき。岩田規久男学習院大学教授が3月24日付け
日本経済新聞経済教室の欄で非常にわかりやすく解説されてい
る。

 岩田先生の日経教室では、日本銀行国債の直接引き受けへの重要な理論的ステップが書かれていました。それをより具体的な方向で書いたのが、若田部昌澄さんの今月の『Voice』論説でした。そこで若田部さんは以下のように書いている。

日本銀行のとるべき政策的選択肢は三つある。一つは、日銀が長期国債の購入額を増やすことである。二つ目は、日銀の国債引き受けを国会議決によって行うことである。三つ目は前回の本コラム(『Voice』4月号のこと…田中注)で紹介した政府通貨(紙幣)である。どれも経済学的な効果は同じであるが、制度的障害がもっとも少なく、すぐにでもできるのは第一番目である、インフレ上限値の設定も、じつはすぐにできる。現状では日銀はそういう大胆な政策判断を行えないだろう。第一の選択肢を日銀が自ら定めた「限界」(日銀が長期国債保有額を日銀券発行額の限度内にきめるという日銀ルール…田中注)で封じてしまうならば、残る二つのうちのどちらかを選ぶしかない。これからが正念場である。 

 政府紙幣案は高橋氏がおそらく後ろ盾になりアドバイス自民党内ですすめた成果があったが、ご自身の不祥事でこれは現状では政治的に頓挫している(与党内の動きがいまはよく読めない)。

 もちろん与党自民党の選択肢(政府紙幣案)に、民主党がのるインセンティブはもともと低い。かりに馬淵さんが指摘するような、若田部論説の第二の選択肢(日銀の国債引き受けの国会議決)は、衆院過半数を制したときには、その政治的な力を国民にアピールできる点でも申し分のないものだろう*1

 現状では民主党自民党の経済政策の違いは明瞭ではない。せいぜい麻生氏が「エビちゃん」を知っているか知ってないかの違いでしかない。

 ちゃんとした代替案がだされないかぎり、国民にとって果実ある政権交代は望めないだろう。オバマ熱をまねて「グリーン」で競うのをとめはしないが、そのオバマ政権とFRBが行っている政策協調を本格的にやる政権の誕生が待たれる。

 なお、経済財政諮問会議に代わる代替案も構築すべきだ。民主党内でそのような議論が加速化することにも注目したい。あと特定政党の応援はしないので 笑 もちろん自民党やほかの政党、政治家が取り組むならそれは大いにウエルカムである。

*1:なおそのとき早急な経済的引締めを避けるためにー大恐慌の最大の教訓は早すぎる引締めによる停滞の長期化である!−1%以上のインフレ目標の設定と、徹底的な構造改革を約束することであろう